持続化給付金不適切受給問題、JRAが調教師ら170人を“処分”指南役税理士は馬主資格継続

給付金の不適切受給問題で記者説明会に臨んだJRA関係者
給付金の不適切受給問題で記者説明会に臨んだJRA関係者

 日本中央競馬会(JRA)は10日、騎手や調教師らの厩舎関係者が新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金を不適切に受給した問題で、最終的な検証結果と処分などについて説明会を開いた。

 今回の検証結果では、新たに4人の厩舎従業員が持続化給付金を申請・受給していたことが明らかになった。そのうち1人は競馬以外の副業収入を理由とした受給で、あとの3人は給付金を返還済み、または返還手続き中という。これにより、受給者は計169人(競馬以外の副業収入を理由とした3人を含む)を数えて、現時点で96人が返還済みで、70人が返還手続き中という。

 JRAによる戒告、厳重注意は170人にのぼり、日本調教師会、日本騎手クラブもそれぞれ戒告などの処分を下した。JRAは再発防止策として、3月17日から「厩舎関係者相談ホットライン」を開設し、5、6月をめどに日本調教師会、日本騎手クラブが研修会を実施する予定という。

 またJRAは、今回の問題で指南役とされる大阪市の男性税理士と3月23日に面談を行ったことを明らかにした。この税理士法人が関わった受給申請は全体の半数以上の114件で、JRA及び日本調教師会の調査で調教師17人、騎手8人、助手・厩務員83人が同税理士法人を通じて受給していたことがわかっている。馬主でもある男性税理士について、JRAの吉田正義常務理事は「競馬施行規程による戒告、処分はなかなか該当しない。処分というには至らない」と説明した。

<「軽すぎる」と言わざるを得ない>

 目に見える処分が課されたのは、調査に対して虚偽回答をして出勤停止となった厩舎従業員3人のみ。“外の世界”からすると、これで信頼回復のスタートラインに立とうとするには「軽すぎる」と言わざるを得ない。

 今回は公正確保に関わる事案ではないと判断された。こうなるとJRAは、直接の雇用関係にない者に重いペナルティを科すことができない。「競馬の信頼を損ねたケースについて、関連法令のあり方を研究する必要がある」とJRA担当理事。時間がかかっても、法整備は進めるべきだ。

 本当に大事にしなければならないのは競馬ファン。勧誘した税理士が立場の強い馬主だったとしても、勉強不足、認識不足、返還したから終わり、では許されない。立場や年齢を問わず、徹底した教育を行い、「身内に甘い」と言われるサークル内の意識が変わっていくことを願う。(中央競馬担当・吉村 達)

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