JRAは8日、令和4年度の新規騎手免許試験の合格者10人を発表した。2年連続、現役4人目の女性騎手となる今村聖奈(せいな)さん(18)はこの日、騎手課程38期生の同期8人とともに千葉・白井の競馬学校で卒業式に出席。J・G1ジョッキーの父・康成助手(43)=栗東・飯田祐厩舎=がエールを送った。新人騎手たちは来月にもデビューする予定。
幼い頃からの夢をかなえた。菜七子、まなみ、奈穂に続く現役4人目の女性ジョッキーとして一歩を踏み出す今村聖奈さんは「ようやくスタートラインに立てるんだと思っています」と卒業式を終えて気を引き締めた。
元JRAジョッキー(97~12年に現役)の父・康成助手の背中を見て、騎手を志した。「気づいた頃には馬がそばにいて、父の背中を追っている間に馬の魅力を感じていました」と魅了された。2、3歳の頃から父の仕事場へ連れて行ってもらい、朝の調教や厩舎に遊びに行くなど馬中心の生活を送った。競馬が大好きでレースを見るのも好き。夏休みも父が滞在する小倉に向かうほどの熱の入れようだった。康成助手も「根は真面目で一生懸命頑張る子」と評価する。
小学4年生の頃、ポニーに乗ってからだんだん乗馬にのめり込んでいった。5年生になると栗東の乗馬苑で本格的に乗馬を開始。「最初は騎手になりたい感じではなかったんですが、周りがジョッキーを目指す子が多いので、そのなかで自分もなってみたいと思ったみたいです」と康成助手。当時は1歳上の松本大輝(現JRA騎手)がおり、切磋琢磨(せっさたくま)して腕を磨いた。
聖奈さんは「幸騎手のように常に謙虚な姿勢を見習い、福永騎手のように常に探求心を抱いて馬と向き合い、武豊騎手のようにたくさんの人から応援され、尊敬される騎手になりたいです」と目標を掲げた。これから訪れるチャンスを一つずつものにして、騎手としての階段を着実に駆け上がっていく。
〈父の康成助手エール「信頼してもらえるジョッキーに育ってほしい」〉
01年中山大障害(ユウフヨウホウ)を制した父の康成助手が、晴れてジョッキーとなった聖奈さんに、「自分一人で努力しても、みんなが応援してくれないと活躍はできない。信頼してもらえるジョッキーに育ってほしい」とエールを送った。
現在は調教助手を務める父は、幼い頃から一緒に栗東トレセンへ足を運び、「僕がジョッキーの時も、昼から厩舎回りに連れて行っていました」と笑顔で語った。「みんなにかわいがられるように。やっぱりそこが一番大事だと思います。注目されて比較されて、これからは彼女自身も大変になってくると思います。この世界、結果がすべてなので」と先輩として厳しさも伝え、プロになるまな娘を見守っていく。