【ジャパンC】空港から直行可能な新国際厩舎 馬房に監視カメラ設置、いつでもスマホから状態確認OK

馬房には監視カメラが設置されている(写真はグランドグローリー、JRA提供)
馬房には監視カメラが設置されている(写真はグランドグローリー、JRA提供)

◆第42回ジャパンC・G1(11月27日、東京競馬場・芝2400メートル)

 凱旋門賞馬アルピニスタの来日こそならなかったが、世界決戦と銘打つジャパンC(27日、東京)に今年は4頭の外国馬が出走。賞金増とともに外国馬招待の切り札となった新国際厩舎の実情をQ&A方式でひもといた。

 東京競馬場の馬場内に完成した新国際厩舎は、輸送などの負担軽減を図り、外国馬の参戦促進を目指すうえで期待を担っている。20年11月に新設計画が発表された背景について、JRA国際部国際渉外課課長の吉田淳氏は「出走頭数が減少傾向であった2017年から検討が開始されてきましたが、19年には0頭というショッキングな出来事がありました。ジャパンカップの振興を目指すうえで、そのプランの必要性を再認識する要因になったと思います」と説明する。

 実際に運用を開始して、外国馬陣営からは「問題なく調教できるし、非常にいい施設」という声が届いている。特に好評なのは各馬房ごとに設置された監視カメラで、近隣のホテルに宿泊しているスタッフが、いつでもスマホなどでチェックすることが可能だ。吉田氏は「これをやっている主催者は他になく、すごいと言われました。馬の変化に気づけるのはプラスのようです」と、意外な反響に驚いたという。

 外国馬の招致にあたっては、海外メディアにも取りあげてもらうなど「一番のセールスポイント」になったという。故障により引退した今年の凱旋門賞馬アルピニスタも参戦に前向きだったようで、「あれほどの馬が意欲を見せてくれましたし、今年の4頭もレベルの高い馬に来てもらったと思います」と吉田氏。改革への取り組みは確かな成果としてつながったと言える。(坂本 達洋)

 〈新国際厩舎Q&A〉

 Q 東京競馬場の馬場内に新設された国際厩舎とは?

 A 日本のレースに参戦する外国馬は、伝染病を防止するためルール上、一定期間の輸入検疫を受ける必要がある。今年5月末に完成して、同10月1日に農水省から輸出入検査場所の指定を受けた検疫厩舎です。

 Q 今までと何が変わったの?

 A ジャパンC出走馬の場合、これまでは検疫厩舎のある千葉・白井市のJRA競馬学校で検疫を受けた後、東京競馬場に移動していた。今年からは空港に到着後、直接競馬場に入れるようになった。

 Q どんなメリットがあるのか?

 A 以前は5日間の検疫期間に加えて、前後に1日ずつの移動日があった。移動や環境の変化の負担が減り、最初から実際に走る競馬場での調教が可能に。「一部の外国馬の関係者に別の場所での検疫がネガティブな要素という声があったのは間違いなく、ドバイや香港などと同等の受け入れができるようになりました」

 Q 外国馬はどんなふうに調教していくのか?

 A 国際厩舎は6棟12馬房があり、隔離厩舎(2馬房)、クラブハウス(管理棟)、その周囲を回る追馬場(1周292.6メートル)などの施設からなる。今年の外国馬4頭は18日に到着して、5日間の輸入検疫期間のうち、最初の2日間(19、20日)は追馬場のみ使用可能。その後は実際のダートコースで調教ができて、輸入検疫期間を完全に終える25日からは芝コースでも調教ができる。「検疫期間中は、そのつど馬場を消毒できるダートコースのみになります」

 Q ジャパンC以外のレースでも使用されるのか?

 A 安田記念など東京競馬場で行われる国際レースに出走する場合に使用される予定。

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