【ジャパンC】ユーバーレーベン、パワーが魅力の母系はビッグレッドファームグループが積み重ねた期待の結晶

ビッグレッドファームが培ってきた血統の粋が詰まったユーバーレーベン
ビッグレッドファームが培ってきた血統の粋が詰まったユーバーレーベン

◆第42回ジャパンC・G1(11月27日、東京競馬場・芝2400メートル)

 ユーバーレーベンの血のロマンは、3代母のマイネプリテンダーから紡がれ始めた。ビッグレッドファームグループの前代表で、優れた相馬眼を持っていた故・岡田繁幸氏が、ニュージーランドのセリで買い求めた牝馬で、基礎牝馬の一頭として血脈を広げてきた。同ファーム繁殖主任の菊池聡さんは「先代の社長が牡馬しか買ってこなかった頃、もしかして初めて海外で牝馬を買ったのかもというくらい珍しかった。ひかれるものがあったのでしょう」と、経緯を語る。

 マイネプリテンダーは、JRAで4戦1勝と早くに引退したが、初子のマイネヌーヴェルが03年のフラワーCを制するなど重賞戦線でも活躍。その弟もマイネルネオスやマイネルチャールズといった重賞勝ち馬。きょうだいで唯一の牝馬だったマイネヌーヴェルが、ロージズインメイの初子を産んだ。

 後にマイネテレジアと名付けられた牝馬と産まれた翌日に対面した岡田氏は「メスかぁ~」と、何とも言えない様子だったという。期待の初子が牡馬ではなかったが、菊池さんが「馬はいいですし、ヌーヴェルのように後継になれるじゃないですか」と言うと、「うん、それはよかったな」と喜んだという。後に生産馬として初のクラシック制覇をもたらしたオークス馬ユーバーレーベンの母となり、牧場の期待は実を結ぶ。

 この一族は母系の特徴を色濃く受け継ぐそうで、切れ味以上に力強さ、パワーが魅力だ。ユーバーレーベンの母の父ロージズインメイは、岡田氏が日本に導入した種牡馬で、父ゴールドシップもビッグレッドファームの種牡馬として活躍中。菊池氏も「先代の社長の執念そのもの」と感慨もひとしおだ。グループが悲願と夢見てきた日本ダービーと同じ府中の芝2400メートルで、再びドラマの予感がする。(坂本 達洋)

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