◆第40回東海S・G2(1月22日、中京競馬場・ダート1800メートル)
第40回東海S・G2(同、中京=1着馬にフェブラリーS優先出走権)は、ハギノアレグリアスを送り出す開業3年目の四位洋文調教師(50)=栗東=に重賞初Vが懸かる一戦だ。
名伯楽の教えを胸に、初タイトルへ。四位調教師が、屈腱炎による1年8か月の休養を乗り越えたハギノアレグリアスを東海Sに送り出す。「2週続けて併せ馬で、坂路でしっかりやっている。(脚元は)全然大丈夫。順調、順調」と好仕上がりをアピールした。
昨年6月のアハルテケSで復帰し、オープン初戦でいきなり4着と好走。しかしその後、再び4か月半休養した。そこには、騎手時代にJRA通算1586勝を挙げた四位師が技術調教師時代に研修を受けた、藤沢和雄元調教師の流儀が受け継がれている。「藤沢先生が最後に言った『一勝より一生』。人間は走る馬だと使いたくなるけど、ぐっと我慢」。JRA通算1570勝のトップトレーナーにならい、目先の勝利にとらわれず将来を優先した。
その効果は着実に発揮されつつある。復帰2戦目の太秦Sを快勝し、みやこSで重賞初挑戦。実績馬がそろうなか、好位から力強く伸び、頭差の2着に入った。指揮官は「やっぱり力があるところは見せてくれた。能力は休む前からいいものがあったからね」と納得の表情で振り返った。
21年2月末に定年解散した松田国英厩舎から転厩してきたハギノアレグリアスは、同3月開業の四位厩舎で現在、唯一のオープン馬。「ボスだよね。若い馬は(ハギノアレグリアスが)目の前にいると暴れないもんね」と、名実ともに屋台骨を担う。トレーナーも初タイトルのチャンスだが、「全然意識してない! 未勝利でも一緒だよ」と笑い飛ばす。勝利を願うのは、あくまで馬のため。「何とか我慢が実を結んでほしい。実となり花を咲かせてほしいね。あの馬自身、飛躍の年にしてもらいたい」。苦難を克服した愛馬に、次は重賞Vの栄冠をもたらす。(水納 愛美)