中山大障害を2016年、17年、21年の3度、中山グランドジャンプを16年から20年まで5連覇を成し遂げ、22年も優勝。J・G19勝、1票差で栄誉を得た2022年を含めJRA賞最優秀障害馬に5度も輝いたオジュウチョウサン(牡12歳、父ステイゴールド、母シャドウシルエット)が1月12日、生まれ故郷の坂東牧場(北海道平取町)に到着した。
「育成をして、本州へ送り出して以来なので、10年ぶりに牧場に戻ってきました。なかなか馬運車から降りてきませんでしたが、周りを見渡し、場所を納得してから降りてきた感じでしたね」と坂東牧場の坂東勝彦顧問。報道陣からの「どのレースが最も印象に残ったか?」の質問には、「やはり最初にJ・G1を勝った(16年の)中山グランドジャンプですかね。あの時はチャレンジャーでしたし、当時のチャンピオンだったサナシオンにどれだけ食い下がれるか、と思いながら観ていましたが、突き放した時は驚きました。ゴールまでひた走る時の目つきは、年を重ねても変わらなかった馬で、それが強さの原動力になっていたかもしれません」と話した。
坂東牧場の繁殖牝馬にも種付けされる予定もあり、「どの馬と配合するかはまだ決めていませんが、牧場に戻ってきてくれましたし、競馬界を盛り上げた功労馬ですから、応援していきたいと思っています」と坂東顧問。ステイゴールドの後継種牡馬は、オルフェーヴルとゴールドシップがG1馬を送り出し、ドリームジャーニーも産駒のヴェルトライゼンデが日経新春杯を快勝したばかり。サンデーサイレンスの血が少しずつ遡る形で残る繁殖牝馬も増えており、今はサンデーのクロスを意識する形で配合するケースも珍しくない。オジュウチョウサンには、その産駒に自身が成し得なかった平地重賞Vを期待したいし、父子J・G1制覇の偉業も見てみたい。種付料は100万円(受胎条件)に設定されている。
そして、20年の目黒記念と昨年のアメリカJCCを制覇したキングオブコージ(牡7歳、父ロードカナロア、母ファイノメナ)が1月13日、けい養先のイーストスタッド(北海道浦河町)に到着した。
17年セクトセール1歳で3100万円で落札されたキングオブコージは3歳時までマイル以下のレースを選択されていたが、4歳から2000メートルに距離を延ばすと、4連勝で目黒記念を制すなど中距離で花開いた。伯母に愛1000ギニー勝ち馬のナイタイムがおり、その産駒に19年バーデン大賞や20年コロネーションC、エクリプスS、英インターナショナルSを勝ち、欧州芝中距離のトップホースだったガイヤースがいる。
母系のスタミナにロードカナロアのスピードがマッチし、非凡な瞬発力を生み出した印象。キングオブコージは最後の2戦、芝1400メートルに挑み、スワンSでは0秒2差5着に健闘するなど、活躍距離に幅を見せたことも種牡馬生活を明るくさせるだろう。種付料は20万円(受胎条件)、30万円(出生条件)に設定された。(競馬ライター)