今月末で定年引退する池添兼雄調教師=栗東=はレース最終日の2月26日、中山に1頭、阪神に3頭を送り出したが、阪神1Rメイショウネムノキ(池添謙一騎手)の2着が最高着順だった。
阪神12R(メイショウフンケイ6着)後に検量室前でセレモニーが行われ、長男の池添謙一騎手、次男の池添学調教師、長女で謙一騎手らのバレットの美幸さんら関係者が集まった。
記念撮影前の花束贈呈の際、謙一騎手は父の前に立つと、感極まって下を向き涙ぐみ、左手で顔を覆って5秒ほど静止。父が恥ずかしそうに頭を叩いて、ようやく花束を渡した。その後、両手でハグしたが、涙で顔を上げられず、下を向いたまま騎手仲間のいる場所へ戻った。
池添兼調教師は「こういうことされるとジーンとくるね。いい調教師人生を送らせてもらった。何も言うことはありません。最後(中山12Rメイショウヨシテル14着)で勝ってくれたら良かったけど、きょうは神様はついてなかったね(笑い)。謙一も(阪神8Rで復帰後初めて)勝ったし、幸せ者です」と終始、笑顔で阪神競馬場を後にした。
謙一騎手は「(1Rで)何とか勝ちたかったんですけどね。勝って(恩を)返したかったけど、できませんでした。ずっと目標にしていた、父とのJRA・G1も2着が最高で夢をかなえられませんでした。それでも父は楽しく調教師をやってたし、お疲れ様という気持ちです。父の厩舎から4人も調教師になって、これからも競馬を楽しんでくれたら。僕も(阪神8Rで復帰後)一つ勝てて、まだやっていけると思いました。週末頑張る姿を見せたい」と最愛の父をねぎらった。