◆第57回報知杯フィリーズレビュー・G2(3月12日、阪神競馬場・芝1400メートル)
桜花賞トライアル(3着までに優先出走権)の第2戦、第57回報知杯フィリーズレビュー・G2(12日、阪神)で、池添学調教師(42)=栗東=が23年の重賞初勝利を目指す。今回のメンバーで重賞勝ち馬2頭のうち1頭となるブトンドールと、抽選対象ながら1戦1勝のハートループを登録。父の兼雄元調教師(70)が2月いっぱいで定年引退し、ここからさらなる独り立ちと飛躍への歩みをスタートする。
唯一の「池添厩舎」としての新たな船出だ。父の兼雄師が2月をもって定年引退。調教師のバトンは、次男の学師に完全に引き継がれた。「引退があるのは当然なので、意識はありません」と平静さを保つが、「兄(謙一騎手)を含めて、今の僕があるのは両親のおかげ。(体が大きくなったため)騎手を諦めてどうしようかと悩んでいた時、調教師への道を示してくれたのは父でした」と感謝の念が湧き上がる。これからは成績を上げることが、何よりの親孝行になると自覚している。
昨年末のホープフルSをドゥラエレーデで勝ち、延べ34頭目の挑戦でG1初制覇。19~21年は奇遇にも3年連続で年間33勝止まりだったが、昨年は40勝の大台に到達し、全国リーディング12位へと上昇した。今年のJRA成績は6日時点で【5/6/9/30】。勝率10・0%こそ通算の11・4%に及ばないが、連対率22・0%、複勝率40・0%は上回り、流れは決して悪くない。
主役を張るブトンドールは前走の阪神JF10着ながら、今回は2走前のファンタジーSで2着の舞台。「マイルは長かったし、馬場も前残りで差しが利かなかった。休ませて、馬はひと回り大きくなりました。1日の追い切りで口向きの難しさを見せたので、鞍上(鮫島駿)の進言もあり、最終追い切りではリングハミを試す予定です」と、昨夏の函館2歳S以来の重賞2勝目に向けて策を練っている。
もう一頭のハートループも抽選対象ながら、突破すれば軽視できない存在。「(兄姉の傾向から)行きたがる面がかなり強い血統。(ハナに)行かせてしまった方がリラックスできるかもしれませんが、スタート次第では馬群で教えるような競馬でもいいのかなと。ジョッキーが臨機応変に対応してくれると思います」と初コンビを組む兄を信頼する。
フィリーズレビューは自身初参戦だが、G2は重賞全9勝のうち5勝を挙げ、勝率、連対率もG3をはるかにしのぐほど相性がいい。「今年は3着が多いので、何とかここで結果を出して流れに乗りたい」。父の引退後初の重賞で、存在感を誇示する。(玉木 宏征)
◆池添 学(いけぞえ・まなぶ)1980年9月2日、滋賀県生まれ。42歳。明大馬術部で主将を務めた。牧場で働いた後、アイルランドのAオブライエン厩舎で1年間修業。06年5月から池添兼雄厩舎で厩務員、調教助手として経験を積んだ。4回目の挑戦で調教師試験に合格し、15年3月に開業。6日現在、JRA通算2041戦233勝。「父が現役の間に兄弟で重賞を勝って安心させてあげたい」との夢を、21年スプリングS(ヴィクティファルス)と22年青葉賞(プラダリア)で実現させた。