2005年に有馬記念、2006年にドバイ・シーマクラシックを制し、2005年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬を受賞、現役引退後は北海道安平町の社台スタリオンステーションにて種牡馬として供用され、2020年の種牡馬引退後も同所でけい養されていたハーツクライ(牡22歳、父サンデーサイレンス)が3月9日に死亡した。JRAが3月10日に発表した。
ハーツクライは2001年、北海道千歳市の社台ファーム生まれ。父サンデーサイレンス、母アイリッシュダンス(父トニービン)の血統で、栗東・橋口弘次郎厩舎から2004年1月にデビューした。若葉Sで権利を獲得して臨んだ皐月賞は14着に終わったが、京都新聞杯で重賞初制覇を経て、続く日本ダービーはキングカメハメハの2着。秋の菊花賞は7着に終わり、その後は白星がなかったが、2005年の有馬記念でクリストフ・ルメール騎手を背に、同年に無敗の3冠馬に輝いたディープインパクトを相手にG1初制覇を飾った。海外初遠征となった2006年3月のドバイ・シーマクラシックも制した。同年のジャパンC(10着)を最後に現役を引退。通算成績は19戦5勝(うち海外2戦1勝)、総獲得賞金は9億2536万900円(海外含む)だった。
種牡馬としては、父と同じ橋口弘次郎厩舎に所属して橋口師に悲願の日本ダービー初制覇を届けたワンアンドオンリー、昨年のドウデュースのダービー馬を送り出した。また、19年の年度代表馬リスグラシューをはじめ、ジャスタウェイ、シュヴァルグラン、スワーヴリチャード、サリオスなどG1ウィナーを多く輩出した。20年に種牡馬を引退しており、現2歳が最終世代となる。
橋口弘次郎・元調教師「昨日の夕方に牧場のスタッフから容体が悪いと連絡を受け、今朝亡くなったと聞きました。それまでは体調のことを聞いてなかったし、本当に突然でしたね。22歳というのは若すぎる。まだ、現役で種付けしている馬もいるぐらいの年なのに…。もっと、余生をゆっくりと過ごしてほしかったです。現役時代は本当に能力の高い馬でした。(引退の要因となった)喉の病気さえなければ、と本当に惜しまれます。その能力の高さで種牡馬としても私にダービーを勝たせてくれたワンアンドオンリーなど多くの馬を出してくれたし、(自分の)引退後はハーツの名前を馬柱で見ると、うれしくなったものです。あと一世代いる子供の中から活躍馬がさらに出てほしいし、孫の代にも頑張ってほしいと思っています」