◆第53回高松宮記念・G1(3月26日、中京競馬場・芝1200メートル)
中央競馬の春G1シリーズの開幕戦、第53回高松宮記念(26日、中京)に、堂々の主役として臨むナムラクレア。冠名「ナムラ」にとって初となるJRA・G1制覇に向けて、全ては青写真通りに進んでおり、陣営も浜中俊騎手(34)=栗東・フリー=も自信を持って本番に臨む.。
同舞台のシルクロードSを完勝したナムラクレアが、堂々とG1に戻ってきた。爪の状態が良くなり、今年に入ってCWコースで速い時計を3本出し、当週は坂路で微調整というパターンを確立。主戦の浜中は「体質も強くなって、コースで負荷をかけられるようになりました」と目を細める。
効果ははっきりと前走で現れた。牝馬で56・5キロを背負い、新馬戦(3着)以来となる左回りだったが、坂を上って前のマッドクールをとらえた後、ファストフォースが外からかわしそうな脚いろで来ると、グイっともうひと伸び。「道中リズム良く行けて、最後までしっかり根性を出してくれました。今までゴール前で少し甘くなっていましたが、勝ち切ってくれてすごく良かったです」。コース主体の調教で、一瞬の切れ味にひと伸びが加わった。
父ミッキーアイルは、現役時代にマイルG1を2勝したが、スプリントG1は高松宮記念が15年に3着、16年は2着。スプリンターズSも同4着と2着で、あと一歩届かなかった。父の主戦だった浜中も「(ナムラクレアの)反応の速さは父に似ています。ギアの入りも速い。思い入れがあるし、アイルの子でG1を勝てたら」と力を込める。
20日は栗東トレセンの馬房で英気を養い、担当の疋田(ひきた)厩務員は「体も前回よりもう一段、張りが出てきた」と胸を張る。5着だった昨秋のスプリンターズSから今回までに「2回は使いたくない」と、陣営で作戦を練ったこともあり「すべて予定通りにきている。水曜(22日)はサラッとでいいんじゃないかな」と順調な過程に笑顔を見せた。
「ナムラ」軍団にとっても、悲願の初G1がかかる。11年の天皇賞・春で3着に入ったナムラクレセントなどを所有した奈村信重氏が逝去し、息子でクレアなどを所有する睦弘氏に思いは託された。浜中も「電話やメールで連絡させてもらいますが、ジョッキーの意見を尊重してくださいます」と感謝する。その上で「今年は短距離路線を引っ張れるように」と自信を持って大仕事に臨む。(玉木 宏征)