◆第53回高松宮記念・G1(3月26日、中京競馬場・芝1200メートル)
スプリント戦で6戦未勝利のダディーズビビッドだが、血統にはG1を勝つにふさわしい下地がある。千田調教師は「スペシャリストを相手に1200メートルがどうか。1400メートルがベストな感じですね」と挑戦者の立場を崩さないが、昨年のオーシャンS、セントウルSでともに4着。十分に上位争いが期待できる。
3代母のケイティーズは3冠馬ナリタブライアンとも好勝負を繰り広げた女傑ヒシアマゾンの母。ヒシアマゾンは有馬記念2着など中距離路線でも活躍したが、マイル戦の阪神3歳牝馬(現阪神JF)やスプリント重賞のクリスタルCを勝つなど、スピード能力にも秀でた名牝だった。
ケイティーズの子孫は日本競馬界で幅広い活躍を見せている。孫のスリープレスナイトは08年のスプリンターズSを制覇。ひ孫のアドマイヤムーンは国内外でG13勝を挙げ、種牡馬としても18年高松宮記念&スプリンターズSを制したファインニードル、17年高松宮記念Vのセイウンコウセイを輩出した。現役時代は中長距離で活躍したが、ヒシアマゾン同様に速力を持ち、産駒に伝えている。
そのアドマイヤムーンの母マイケイティーズの半妹ケイティーズギフトがダディーズビビッドの母。4代母モルテフォンテーヌの全兄ポリフォトも、英ナンソープSを勝つなど10勝をマークした名短距離馬だった。引き継がれた“遺伝子”が覚醒した時、驚く波乱が巻き起こる。(戸田 和彦)