◆第167回天皇賞(春)・G1(4月30日、京都競馬場・芝3200メートル)
第167回天皇賞・春・G1は30日、京都競馬場で行われる。3年ぶりの京都開催。大阪本紙予想担当の吉村達記者は「占う」でタイトルホルダーの強さを認めつつ、京都替わりでのプラスアルファを見込み、ジャスティンパレスを次位候補の筆頭に指名した。また、松末守司記者、山下優記者も淀の舞台で評価を上げる馬を取り上げた。
今年も主役はタイトルホルダーだ。始動戦の日経賞を8馬身差の圧勝。G1・3勝の実績、臨戦過程ともに頭一つ抜けている。よほどのことがない限りは、このまま本命でいこうと思っている。
焦点は相手探し。3年ぶりの淀を追い風に、差を詰めるとすればジャスティンパレスだろう。その思いが強くなったのが前走の阪神大賞典だ。阪神の長丁場はタフな流れの“バテ合い”になることが多いが、今年はスロー。京都で何度も見てきた、速い上がりが求められるレースになった。
インの3番手で運んだジャスティンパレスは位置取りが最大の勝因。だが、直線でいったん内に押し込められてもひるまず、残り1ハロン手前で進路ができると瞬時に加速した。ディープインパクト産駒らしい瞬発力を繰り出しての1馬身3/4差は完勝と言っていい。「本番でさらに」と思わせた。前哨戦と同様に位置を取って脚をためられれば、大きく崩れるイメージはない。この点でソツがないルメールの継続騎乗も非常に心強い。
ボルドグフーシュは切れ味勝負では分が悪いため、勝負どころの下り坂をうまく利用できるかがカギを握る。前走は出遅れて競馬にならなかったアスクビクターモアも本来の先行策で巻き返してくるはず。枠順決定までしっかり情報を整理して、自信を持って“正解”を導き出したい。(大阪本紙予想担当・吉村 達)
◇松末記者の目
開幕週の馬場で一番気にしたのは、3角からの下りだ。コーナーが緩くなったとはいえ、否が応でも速くなることを思えば、良質な馬場だからこそ前が止まり、差しが決まるのでは? と考えたが、明かな力差がない限りは差しは決まらなかった。逃げ、先行馬が有利な馬場なのは間違いない。
この傾向を踏まえると、タイトルホルダー優位の思いはさらに強くなった。3角の下りを利して、後続とのリードを広げながら平坦な直線に入れば、容易にはつかまらない。今年初戦は59キロを背負いながら道悪をものともせずに8馬身差のぶっちぎりとさらにパワーアップした感もある。馬場も味方につけられる今、連覇の可能性はかなり高い。
◇山下記者の目
新装された京都はスローだった22日の4R(芝2400メートル)でレースの上がりが34秒6。少頭数のあやめ賞(芝1800メートル)でも上がりは35秒5だった。ペースにもよるが、思ったよりも速い上がりを必要としない印象だ。
前走の阪神大賞典で上位2頭よりも重い斤量で3着だったブレークアップに注目している。一度は離されながらも最後に2着馬に迫ったように、バテないスタミナが持ち味の馬。1ハロンでも距離延長は好材料で、今回は全馬同じ58キロで走れる。
今回はタイトルホルダーが持久力勝負に持ち込む公算が大きい。馬場も考慮すれば、切れよりもじわじわと脚を使う同馬のチャンスは広がるはずだ。