◆第84回菊花賞・G1(10月22日、京都競馬場・芝3000メートル)
第84回菊花賞・G1(22日、京都)に参戦するサトノグランツには、史上初の同一クラシック父子3代制覇がかかる。05年3冠馬の祖父ディープインパクトは種牡馬としても5頭の菊花賞馬を送り出し、その1頭目が16年Vの父サトノダイヤモンド。サトノグランツが最後の1冠を奪取すれば、前哨戦の神戸新聞杯に続く3代制覇だ。
偉大な系譜を受け継ぎ、菊の大輪を咲かせる。祖父ディープインパクトが無敗の3冠を成し遂げ、父サトノダイヤモンドがG1初勝利を挙げた淀のターフは、サトノグランツが主役を張るうえで打ってつけの舞台だ。友道調教師も「1回使った上積みはある」と、上昇ムードでの臨戦に手応えを深めている。
覚醒の時を迎えた。祖父、父も前哨戦とした神戸新聞杯でコースレコードV。ラスト3ハロン10秒7―10秒9―12秒0と10秒台のラップが続いた上がり勝負を、33秒1の豪脚で差し切った。指揮官は「残り20メートルくらいの脚はすごかった。坂を上がって、あそこで終わったかなと思ったらもうひと伸び。ギアが上がった」と振り返る。秋初戦の馬体重は2キロ増の492キロ。「見た感じは大きく変わっていませんが、ジョッキー(川田)も『春に比べると体がしっかりして成長を感じる』と言っていました」と変化を強調する。
16年のマカヒキで日本ダービー初勝利を挙げた友道師にとって、サトノダイヤモンドは鼻差の激戦を演じたライバルだった。「近くでじっくりと見たことはない」と前置きしつつ、「緩さがあるなかでも、体幹がしっかりしているところと勝負根性でしょうか」と、グランツとの共通点をみる。前走の豪脚は、祖父、父から受け継いだ血のなせる業だろう。
新装された京都で3年ぶりに開催される3冠最終戦。5月の京都新聞杯では、ダービー上位組が経験すらしていない名物の3、4コーナーの坂をクリアし、メンバー唯一の当地勝利を挙げている。鞍上の川田も今秋、スプリンターズS、秋華賞とG1・2戦2勝の最高のパートナーだ。「下り坂を経験しているのはアドバンテージになる。エンジンのかかりが遅い馬なので、下り坂で加速できれば」と指揮官。祖父と父が先頭で駆け抜けたゴール前の大歓声を、今年はサトノグランツが独り占めにする番だ。(戸田 和彦)