◆第11回京都2歳S・G3(11月23日、京都競馬場・芝2000メートル、良)
王者の誕生を、確かに予感させた。単勝1・9倍の支持を集めたエリキングが豪快に差し切り、新馬、野路菊Sから無傷の3連勝。昨年の1、4着馬が日本ダービーで3、1着となった“出世重賞”を1馬身1/4差で制した。川田は「どうしても勝たないといけないところだったので」と、この一戦にかけた思いを明かした。
決して楽勝ではなかった。勝負どころで反応が鈍く、何発もムチが入った。しかし、残り1ハロンから川田の豪快なアクションに応え、ようやくエンジンが点火。「一瞬ヒヤッとしました」と中内田調教師。川田は「(体も動きも)良くなっていますが、それがまだ競馬に結びつかない現状」と指摘しつつも、「今日動かしたことも、先につながってくると思います」と手応えを示した。
藤田晋オーナーは、シンエンペラーに続く連覇。昨年は所有馬ドーブネが東京メインのキャピタルSを勝った直後、ターフビジョンでの観戦だったが、今年は現地で愛馬の初タイトルを見届けた。「ほっとしました」と第一声。「成長していると中内田先生がおっしゃっていました。来年のクラシックを目指してほしいですね」と目尻を下げた。
年末のG1は目指さず、来年に備える方針。鞍上も「このお父さん(キズナ)特有の背中の良さを感じるタイプです。無事に、来年までの時間を過ごしていければ」と高く評価。クラシック戦線の主役として、堂々と歩む。(水納 愛美)
エリキング 父キズナ、母ヤングスター(父ハイシャパラル)。栗東・中内田充正厩舎所属の牡2歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算3戦3勝。総獲得賞金は5662万円。重賞初勝利。馬主は藤田晋氏。