小欄では香港スプリント・G1について血統面からアプローチしてみたい。
まずは注目のカーインライジングをチェックしよう。父シャムエクスプレスは豪ニューマーケットH・G1(芝1200メートル)の覇者。主な産駒にはハービーダイクS、ニュージーランドSとニュージーランドの中距離G1を2勝したコヴェンティナベイがいる。
父シャムエクスプレスがノーザンダンサー系トライマイベストの流れをくむ種牡馬という点は、香港の現役最強馬ロマンチックウォリアーの父アクラメーションとも共通する。
英デューハーストS・G1の勝ち馬で日本でも種牡馬供用されたトライマイベストの血筋はあまり目立つ存在ではなかったが、欧州で直近の欧州古馬チャンピオンとなったチャリン、日本でも高松宮記念を制したマッドクール(ともに父はアクラメイションの後継ダークエンジェル)が出たように、ここ最近の世界的な活躍ぶりは目を見張るものがある。
シャムエクスプレス 鹿毛2009 ノーザンダンサー系 | オライリー 黒鹿毛1993 | ラストタイクーン |
Courtza | ||
Volkrose 青鹿毛2002 | Volksraad | |
Rose World | ||
Missy Moo 鹿毛2012 ミスタープロスペクター系 | パーインカント 黒鹿毛2004 | ストリートクライ |
Pappa Reale | ||
Royal Rhythm 鹿毛1998 | リズム | |
Her Dynasty |
カリフォルニアスパングルは、父がノーザンダンサー系デインヒルの血を引くスタースパングルドバナー。英ゴールデンジュビリーS・G1や英ジュライC・G1などG1・4勝馬で、2010年には欧州チャンピオンスプリンターに輝いた。産駒には英プリンスオブウェールズS・G1などG1・4勝のステートオブレスト、チャンピオンズマイル・G1を制したビューティーエターナルがいる。
デインヒルの後継を父に持つ馬は香港スプリントに強く、近年も2017年と2018年に連覇したミスタースタニング(父エクシードアンドエクセル)、2019年のビートザクロック(父ヒンチンブルック)、2022年のウェリントン(父オールトゥーハード)が勝利している。
スタースパングルドバナー 栗毛2006 ダンチヒ系 | ショワジール 栗毛1999 | デインヒルダンサー |
Great Selection | ||
Gold Anthem 栗毛1999 | Made of Gold | |
National Song | ||
Pearlitas Passion 鹿毛2006 サドラーズウェルズ系 | ハイチャパラル 鹿毛1999 | サドラーズウェルズ |
Kasora | ||
Paimpolaise 鹿毛1998 | Priolo | |
Basilea |
サトノレーヴは父が2012年と2013年の香港スプリントを連覇したロードカナロア。2020年には産駒のダノンスマッシュが勝利し、史上初となる父子制覇を達成している。
母の父は名スプリンターのサクラバクシンオー。半兄にセントウルSなど重賞3勝を挙げたハクサンムーン(父アドマイヤムーン)がいる。4代母ミスゲランの子孫からは香港カップ・G1とクイーンエリザベス2世Cに・G1勝利したウインブライトがおり、当地でも実績のある母系の出身だ。
ロードカナロア 鹿毛2008 ミスタープロスペクター系 | キングカメハメハ 鹿毛2001 | キングマンボ |
マンファス | ||
レディブラッサム 鹿毛1996 | ストームキャット | |
サラトガデュー | ||
チリエージェ 栗毛2001 ナスルーラ系 | サクラバクシンオー 鹿毛1989 | サクラユタカオー |
サクアハゴロモ | ||
メガミゲラン 鹿毛1992 | シェイディハイツ | |
モガミゲラン |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月8日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第2「香港国際競走実況中継」に出演予定。