
今週末はついにドバイ・ワールドC! フォーエバーヤングと再び海外G1に臨みます。サウジCではモチベーション、夢であった海外G1勝利を達成できました。プレッシャーがありましたし、昨年は海外G1で負けていたので、勝ち切れたのは何より大きかったです。
ロマンチックウォリアーを倒したことがすごい。あとで映像を見て、「こんなレースをしていたんだ」と驚きました。ロマンチックウォリアーも、とんでもなく強い馬。もう戦いたくないと思うぐらいです。一番感動したのは、チームのみんながゴールで喜んでいるのを目にしたとき。ビデオでその場面を見て、本当にうれしかったです。
レースでも、ロマンチックウォリアーをどう倒すかを考えていました。理想は相手の前に入ってキックバックをかぶせ、プラスあの馬がさらに外を回ること。実際、理想的な位置でした。4コーナーで仕掛けてきたときは、気配がぶわっときました。あのスピードにはかないません。『よく焦らなかったね』と言われますが、焦る隙もなかったんです。ただ、フォーエバーヤングの手応えも良く、絶対伸びるという自信がありました。負ける気はなかったです。
フォーエバーヤングには高い能力と、それをどこでも発揮できるメンタル、勝負根性があります。前にいる馬を絶対抜かすという気持ちと、後ろに抜かせない気持ち。そして、ここまで色々な課題も乗り越えてくれました。一番はスタート。速くなったのはアメリカでの経験が大きいと思います。昨秋のブリーダーズCクラシックは1200メートル戦ぐらいのペース。東京大賞典からはゲートの出方が全然違ったんです。いよいよ弱点がなくなってきて、理想的な競走馬になりつつあります。
僕自身はドバイ・ワールドCに乗るのは初めて。実は11年にヴィクトワールピサが勝ったとき、父と一緒に現地にいました。日本の馬でも勝てるんだ、と思ったことを覚えています。凱旋門賞などは生で見たことがなく遠い存在でしたが、ドバイ・ワールドCは明確に「勝ちたい」と思ったレース。当時の自分に「14年後、ここでお前が1番人気だぞ」と言ってあげたいです。
サウジCを勝ったことで「勝ちたいな」から「負けられない」という感情に変わりました。これは、いつもレモンポップと経験させてもらっていた感覚です。追う側と追われる側なら、追う側の方が絶対に楽。ですが、その立場を経験できるジョッキーも少ない。プレッシャーを楽しみながら過ごしたいです。しっかり準備をして無事にレースに向かえれば、結果は出ると思っています。(JRA騎手)