コントレイルは無敗の3冠馬となれるのか?
過去の3冠馬との比較 日本競馬の長い歴史の中で、皐月賞、日本ダービー、菊花賞のクラシック3冠を達成したのは、セントライト(1941年)、シンザン(1964年)、ミスターシービー(1983年)、シンボリルドルフ(1984年=無敗)、ナリタブライアン(1994年)、ディープインパクト(2005年=無敗)、オルフェーヴル(2011年)の7頭。いずれも名馬が名を連ねる。ここでは同じサンデーサイレンス系のサイアーラインを持つ直近の2頭、ディープインパクト、オルフェーヴルと、能力指数IDMを用いて比較する。
IDMとは…馬トク指数算出の元になる各馬の能力指数。レースタイムを元に、馬場差やペース補正、それに出遅れ、レース中の不利、コースロス、馬場の悪い所を通ったなど記憶要素を元に算出している。馬トクではIDMをPDF出馬表「馬トクカラー大馬柱」の各馬の過去成績で確認出来ます。
コントレイル | レース | 菊花賞 | 神戸新聞杯 | ダービー | 皐月賞 | ホープフルS |
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IDM | ? | 73 | 74 | 74 | 64 |
オルフェーヴル | レース | 菊花賞 | 神戸新聞杯 | ダービー | 皐月賞 | スプリングS |
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IDM | 74 | 70 | 69 | 65 | 61 |
ディープインパクト | レース | 菊花賞 | 神戸新聞杯 | ダービー | 皐月賞 | 報知杯弥生賞 |
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IDM | 77 | 76 | 76 | 69 | 61 |
◆コントレイルは父ディープインパクト型
コントレイルのIDMの推移を見ると、皐月賞の段階ですでに「74」と高水準。皐月賞の「65」から使うごとに数字を上げたオルフェーヴルとは明らかに傾向が異なっている。
父でもあるディープインパクトとの共通点は見られるが、4月時点での完成度は父以上。2冠ともに2着のサリオスという好敵手に恵まれ、僅差の戦いを繰り広げたことも数字の押し上げにつながった。夏を越し、秋初戦の神戸新聞杯もダービーとほぼ同等の「73」だったことから、菊本番も高値安定の「74」前後の数字を叩き出しそうで、無敗での3冠達成の公算が高い。
◆コントレイル 父ディープインパクト、母ロードクロサイト(父アンブライドルズソング)。栗東・矢作芳人厩舎の牡3歳。北海道新冠町・株式会社ノースヒルズの生産。通算成績は6戦6勝。主な勝ち鞍は20年皐月賞・G1、日本ダービー・G1、19年ホープフルS・G1、東京スポーツ杯2歳S・G3。総収得賞金は5億2785万8000円。馬主は前田晋二氏。
能力指数IDMは馬トクのPDF出馬表でご覧頂けます。申し込みはコチラ。◇菊花賞勝ち馬の前走指数から傾向を探る!
基準として前哨戦で能力指数IDMが「70」以上であれば「菊花賞確定」印がつけられる。99年以降の勝ち馬を見ると、2005年のディープインパクトが神戸新聞杯で驚異の「76」。他にもナリタトップロード(1999年京都新聞杯2着)、オルフェーヴル(2011年神戸新聞杯1着)、サトノダイヤモンド(2016年神戸新聞杯1着)の3頭が「70」を出している。
コントレイルが神戸新聞杯でマークしたのが「73」。史上8頭目の3冠馬誕生は確定的と断言していい数字だ。
年 | 馬名 | 菊花賞IDM | 前走 | 着順 | 前走IDM |
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19 | ワールドプレミア | 71 | 神戸新聞杯 | 3 | 65 |
18 | フィエールマン | 72 | ラジオNIKKEI賞 | 2 | 61 |
17 | キセキ | 68 | 神戸新聞杯 | 2 | 65 |
16 | サトノダイヤモンド | 75 | 神戸新聞杯 | 1 | 70 |
15 | キタサンブラック | 70 | セントライト記念 | 1 | 58 |
14 | トーホウジャッカル | 70 | 神戸新聞杯 | 3 | 65 |
13 | エピファネイア | 71 | 神戸新聞杯 | 1 | 65 |
12 | ゴールドシップ | 70 | 神戸新聞杯 | 1 | 68 |
11 | オルフェーヴル | 74 | 神戸新聞杯 | 1 | 70 |
10 | ビッグウィーク | 65 | 神戸新聞杯 | 3 | 58 |
09 | スリーロールス | 67 | 野分特別 | 1 | 59 |
08 | オウケンブルースリ | 68 | 神戸新聞杯 | 3 | 63 |
07 | アサクサキングス | 66 | 神戸新聞杯 | 2 | 63 |
06 | ソングオブウインド | 68 | 神戸新聞杯 | 3 | 61 |
05 | ディープインパクト | 77 | 神戸新聞杯 | 1 | 76 |
04 | デルタブルース | 74 | 九十九里特別 | 1 | 59 |
03 | ザッツザプレンティ | 65 | 神戸新聞杯 | 5 | 64 |
02 | ヒシミラクル | 72 | 神戸新聞杯 | 6 | 59 |
01 | マンハッタンカフェ | 75 | セントライト記念 | 4 | 63 |
00 | エアシャカール | 76 | 神戸新聞杯 | 3 | 66 |
99 | ナリタトップロード | 74 | 京都新聞杯 | 2 | 70 |
◇菊花賞過去5年1〜3着馬の本番、前哨戦の指数
前哨戦から最も数字を上げて勝利したのは、2015年のキタサンブラック。セントライト記念1着時の「58」から本番「70」と、大きくジャンプアップしての戴冠だった。続くのが2018年のフィエールマン。ラジオNIKKEI賞2着時の「61」から「72」。3歳秋に急成長を遂げ、菊花賞を制した馬たちはその後、長距離路線での活躍が保証される。
不良馬場で行われた2017年は、1着キセキ(66)、2着クリンチャー(64)、3着ポポカテペトル(63)は低水準。クリンチャーは前哨戦のセントライト記念9着時は「54」だっただけに、極悪馬場では何が来てもおかしくない事態になる。
今年のセントライト記念1着バビットの「64」、神戸新聞杯2着ヴェルトライゼンデの「65」は、キタサンブラック、フィエールマン級の短期間での急成長を見込めば…届かない数字ではないが、春から「74」をマークしていたコントレイルの牙城は高い。2017年のような極悪馬場になればの望みは残るがさて…。
着順 | IDM | 馬トク指数 | 激走指数 | 激走指数 | 激 | 馬名 | 騎手 | 父 | 母父 | 前走 | 着順 | IDM |
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2019 | 1 | 71 | 58 2位 | 53 3位 | ワールドプレミア | 武豊 | ディープインパクト | アカテナゴ | 神戸新聞杯 | 3 | 65 | |
2 | 73 | 51 6位 | 50 6位 | 激△ | サトノルークス | 福永祐 | ディープインパクト | Sadler's Wells | セントライト記念 | 2 | 63 | |
3 | 69 | 87 1位 | 55 1位 | ヴェロックス | 川田将 | ジャスタウェイ | Monsun | 神戸新聞杯 | 2 | 67 | ||
2018 | 1 | 72 | 55 6位 | 51 6位 | フィエールマン | Cルメール | ディープインパクト | GreenTune | ラジオNIKKEI賞 | 2 | 61 | |
2 | 73 | 78 1位 | 54 2位 | エタリオウ | Mデムーロ | ステイゴールド | CactusRidge | 神戸新聞杯 | 2 | 69 | ||
3 | 70 | 43 15位 | 48 13位 | ユーキャンスマイル | 武豊 | キングカメハメハ | ダンスインザダーク | 阿賀野川 | 1 | 59 | ||
2017 | 1 | 68 | 60 2位 | 53 3位 | キセキ | Mデムーロ | ルーラーシップ | ディープインパクト | 神戸新聞杯 | 2 | 65 | |
2 | 64 | 42 17位 | 48 11位 | クリンチャー | 藤岡佑 | ディープスカイ | ブライアンズタイム | セントライト記念 | 9 | 54 | ||
3 | 63 | 45 13位 | 48 9位 | ポポカテペトル | 和田竜 | ディープインパクト | MrGreeley | 阿賀野川 | 1 | 58 | ||
2016 | 1 | 75 | サトノダイヤモンド | Cルメール | ディープインパクト | Orpen | 神戸新聞杯 | 1 | 70 | |||
2 | 72 | レインボーライン | 福永祐 | ステイゴールド | フレンチデピュティ | 札幌記念 | 3 | 68 | ||||
3 | 70 | エアスピネル | 武豊 | キングカメハメハ | サンデーサイレンス | 神戸新聞杯 | 5 | 61 | ||||
2015 | 1 | 70 | キタサンブラック | 北村宏 | ブラックタイド | サクラバクシンオー | セントライト記念 | 1 | 58 | |||
2 | 70 | リアルスティール | 福永祐 | ディープインパクト | StormCat | 神戸新聞杯 | 2 | 64 | ||||
3 | 69 | リアファル | Cルメール | ゼンノロブロイ | エルコンドルパサー | 神戸新聞杯 | 1 | 67 |
馬トクの外厩データから逆転候補を探せ!
★ヴェルトライゼンデ
★ヴァルコス
コントレイルは、自身初めてとなる在厩調整で菊花賞に臨む。あら探し的だが、コントレイルの不安点を上げるとすればこのレースまでの調整課程になるか。サートゥルナーリアのダービーやグランアレグリアのNHKマイルCなど、いくら強い馬でも初めて間隔を詰めた際には隙が生じるのだ。それでも神戸新聞杯は、競走によるダメージが最小限だと思える楽勝。仕上げに定評がある矢作厩舎なら、問題なく調整してくるはずだ。逆転を狙った馬券を構築するならば、長距離馬育成に定評がある馬トクのデータ「厩舎×放牧先」の組み合わせに注目だ。
ダービー3着のヴェルトライゼンデは、「池江厩舎×ノーザンF系」なので、サトノダイヤモンド・サトノルークスと同様。池江厩舎はその厩舎力の高さから、ペルシアンナイトやアルアインの戦績のとおりに、社台グループ系育成馬でも2戦目以降で状態を上げてくる。コントレイルと比較しても距離適性ではこちらが上。神戸新聞杯から着差は縮められるとみる。
ヴァルコスは「友道厩舎×ノーザンFしがらき」の組み合わせ。友道厩舎の菊花賞といえば、19年のワールドプレミア(1着)が記憶に新しい。その他にも17年のポポカテペトル(3着)に、18年のエタリオウ(2着)、ユーキャンスマイル(3着)と近年好成績を残している。特にエタリオウとワールドプレミアの2頭は前哨戦を使われて、本番でさらにパフォーマンスを上げた。ヴァルコスがこれまでに挙げた2勝はともに帰厩2走目。放牧明けのセントライト記念からは多くの条件が好転する。馬場適性的にも、小回りの中山よりも広い京都コース向き。人気もそこまで高くはならない予想で、必ず抑えたい穴馬だ。