美浦で1200年前から速い馬づくり 驚きの連続「勝馬神社」

大杉神社にある馬の顔のような形をした木
大杉神社にある馬の顔のような形をした木

 まだまだ暑さ真っ盛りの8月下旬。茨城県にある美浦トレーニングセンターへ取材に向かう前、競馬にゆかりがあるといわれる大杉神社をスポーツ報知紙面の企画取材で訪れた。トレセンから車で15分ほどの場所にあるが、コロナ禍に加えて平日だったこともあり、参拝客はまばら。車を降りると立ち並ぶ木々が目前に広がり、静寂に包まれたそこは猛暑を忘れるほどの壮観な眺めだった。

 境内は想像をはるかに超えた豪華絢爛な造り。厳かな空気に緊張感が増してきたところで、事前に取材をお願いしていた宮司の市川久仁守さんにお会いしてお話をうかがった。「平安時代には現在の美浦トレセンとほぼ同じ位置に馬牧(うままき)と呼ばれるところがありました。馬牧は全国で17か所ほどありましたが、そこは信太(しだ)の馬牧と呼ばれていて馬の速さ競ったり、馬体の見栄えを競う馬を育成する場所でした。そこから長い時を経て、現在また同じところにトレセンができるなんてやはり歴史というのはすごいですよね」。驚いた。まさか美浦で約1200年も前から速い馬やきれいな馬づくりがこの地で行われていたとは…。続けて「その馬牧にあった馬櫪社(ばれきしゃ)と呼ばれる小さなほこらが大杉神社に移り、現在神社の一角にある勝馬神社になりました」と同宮司。当時は馬牧の近くにあった同神社の境内でも展示会などが行われており、競馬との強いつながりを改めて思い知らされた。

 最後に競馬関係者も足しげく通うと話す「勝馬神社」を取材。すると神社の横にそびえる1本の木に宮司の市川さんがおもむろに目をやった。私も合わせて木の上部に目をやると…。また驚いた。馬の顔。どう見ても木の削れた部分がそれにしか見えない。「以前(19年)の大雨と強風の日に木が折れてしまってできたものです。その後自然とこの形になったんですよ」と同宮司も驚いたと話す。私は競馬を初めて25年近くになるが、1日でこれだけ馬に関して驚くことはなかなかなかった。市川宮司の知識の豊富さとフランクな語り口に引き込まれ、約2時間の取材はあっという間だった。

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