◆第142回中山大障害・J・G1(12月21日・直線芝4100メートル・中山競馬場、良)
第142回中山大障害が21日、中山競馬場で行われ、2番人気のシングンマイケルが重賞3連勝でJG1初制覇を飾った。金子光希騎手(37)=美浦・フリー=、高市圭二調教師(64)=美浦=ともに、うれしいJRA・G1初Vとなった。
シングンマイケルの馬上で、金子の左手が高々と上がった。騎手生活20年目で、初めて手にしたG1の勲章。優勝インタビューの冒頭で「やっと夢がかなった。うれしいです」と声を震わせた。
冷静、かつ大胆なレース運びが勝利を呼び寄せた。計11個の障害で、9つ目までは前との距離を測りながら6番手あたりを追走。最後から2番目で先団に追いつき、4角手前の最終障害を飛越したところで、ブライトクォーツをかわして先頭に立った。
「上位人気の馬を見ながら進め、最後の3~4コーナーでは信じて乗った。直線で止まる馬ではないから」と金子。同じくJRA・G1初勝利となった高市調教師は「強気な競馬をしてくれたね。そうなれるくらいの体調だったのも間違いない」と笑顔を見せた。
00年デビューの金子だが、勝ち鞍に恵まれず、10、11年と年間未勝利の時もあった。13年3月から騎手免許を障害専門とし、15年新潟ジャンプS・JG3(ティリアンパープル)で重賞初制覇。そして、ついに大きな花を咲かせた。「折れそうになる心を鼓舞して頑張ってきた。最後の直線は夢中だった」
障害界の新王者の次走は、来年の阪神スプリングJ・JG2(3月14日、阪神)。J・G1で6勝を挙げるオジュウチョウサンも予定するレースだ。「希代の名馬にチャレンジしたい」と金子。新たな夢に向かって、これからも努力を積み重ねていく。(浜木 俊介)
◆シングンマイケル 父シングンオペラ、母ジェヴォーナ(父トウカイテイオー)。美浦・高市圭二厩舎所属のセン5歳。北海道新冠町・ヒカル牧場の生産。通算22戦6勝(うち障害14戦6勝)。総収得賞金は2億739万1000円(うち障害2億24万1000円)。主な勝ち鞍は、東京ジャンプS・JG3、東京ハイジャンプ・JG2(19年)。馬主は伊坂重憲氏。