◆第41回マイルCS・G1(11月17日、京都・芝1600メートル、良)
第41回マイルCS・G1は17日、京都競馬場で行われ、単勝4番人気のソウルラッシュが、同レースは3度目、G1は7度目の挑戦で初の頂点をつかんだ。鞍上の団野大成騎手(24)=栗東・斉藤崇厩舎=は、ゴール前でガッツポーズが飛び出るほど喜びを爆発させた。池江泰寿調教師(55)=栗東=も「種牡馬入りさせたい」と期待をかけていた愛馬の勝利に感激ひとしおだった。
ド派手なガッツポーズで喜びがあふれ出した。最後の直線、団野はソウルラッシュを馬場のいい外めに誘導。ラスト1ハロンを過ぎて、抜け出しにかかるウインマーベルを射程圏にとらえると、一気にかわし、ターフビジョンを確認する余裕があった。
勝利を確信すると、残り30メートルでスタンドを向いて馬上で立ち上がり、左手を上げて感情が爆発。ゴール後も何度も拳を振り上げた。団野は第一声で「ガッツポーズが早すぎました」と反省しつつ「最高の気分です。誰も来ないでくれと思っていました。今回、抜てきしてもらえて、すごくうれしかったと同時に、絶対に結果を残したいと思っていました」。強い気持ちで臨み、実を結んだ。
ソウルラッシュは、G1・7度目の挑戦で待望の初制覇。池江調教師は「ホントに感無量です。(ゴール前は)夢見心地という感じでした。種牡馬入りさせたいと思っていましたが、G1のタイトルがないとね。特にマイル(で勝つ)というのは種牡馬としての需要も高いので」と悲願成就とともに、ひと安心の様子だ。
阪神開催で、このレース初挑戦だった22年は4着。昨年は首差の2着に惜敗したが、トレーナーは「勝負どころで反応が鈍いので下り坂は歓迎だし、直線が平坦もいい」と京都外回りに懸ける思いは強かった。3度目の出走でマイルCS初勝利を挙げたのはカンパニー(07年〈5〉、08年〈4〉、09年《1》)、ダノンシャーク(12年〈6〉、13年〈3〉、14年《1》)に続く3頭目。両馬と同じく、成長を続けて1年ずつ着順を上げタイトルをつかんだ。
戦前から雨を希望。土曜日は少し降ったが、この日は降らなかった。池江師はレース後の共同会見でも「心の中では八代亜紀(「雨の慕情」の一節)を何回も歌ってました。少し力のいる馬場がプラスになりましたね」と言葉も軽やかで、雨が降らずとも完勝してみせた愛馬に誇らしげな表情を見せた。
この後は選出済みの香港マイル(12月8日、シャティン)へ。指揮官は「すぐに検疫に入ります」と昨年4着のリベンジに向け、気を引き締めた。完成の域に入った6歳馬が、香港でも馬名の意味の「魂の突進」を見せつける。(玉木 宏征)
◆ソウルラッシュ 父ルーラーシップ、母エターナルブーケ(父マンハッタンカフェ)。栗東・池江泰寿厩舎所属の牡6歳。北海道日高町・下河辺牧場の生産。通算22戦8勝(うち海外1戦0勝)。総獲得賞金は6億3833万2500円(うち海外3247万2500円)。主な勝ち鞍は、読売マイラーズC・G2(22、24年)、京成杯AH・G3(23年)。馬主は石川達絵氏。