◆朝日杯FS追い切り(11日、栗東トレセン)
最後まで集中力を保っていた。アルテヴェローチェが余力十分に栗東・坂路での最終追い切りを終えた。ブエナオンダ(3歳2勝クラス)を2馬身追走。馬なりで前へ迫ると、手綱をわずかに緩めた程度で馬体を並べ、スッと前へ出た。走りがぶれることもなく、力感の伝わるフットワークで52秒3―12秒1をマーク。須貝調教師は1馬身先着を見届けると「ちょうどいい」と切り出し、「ゆっくりに見えたけど速かった。反応がよかった」と満足そうにうなずいた。
勝負仕上げだ。2週前の段階で武豊に追い切り騎乗を依頼。先週と合わせて2度感触を確認してもらい、4日のCWコースでは6ハロン80秒1―11秒1と負荷をかけた。レジェンドは「いい動きをしていたよ。イレ込みやすくてテンションが高いが、乗り味はいいし、柔らかいし、力強い」と入念なコンタクトで手応えを深めた。
さらに、当週は単走だった前走時と違い、前に馬を置く形で仕上げた。トレーナーは「もうできているので併せ馬は必要なかったけど、今回はG1だから」と説明。メリハリの利いた調整で“スパイス”を利かせた。
新馬、サウジアラビアRCと連勝中。3連勝での2歳王者へ向け、万全の調整過程を踏んできた。「(武豊は)北海道の時よりも良くなっている、と言っていた。分かってくれているからね」と須貝師は信頼。その鞍上も「勝って、来年が楽しみになればいいですね」と力を込めた。ドウデュースと臨むグランプリへ、最高の形で弾みをつける。(山本 武志)