藤田菜七子騎手、3年目の誓い!「次の1勝」積み重ねてG1騎乗目指す

犬のぬいぐるみを手に「ワン、ワン」と1勝ずつ積み重ねる決意の藤田菜七子
犬のぬいぐるみを手に「ワン、ワン」と1勝ずつ積み重ねる決意の藤田菜七子

 藤田菜七子(20)=美浦・根本厩舎=が、新春インタビューで「3年目の誓い」をたてた。昨年はJRA女性騎手の年間最多勝記録を20年ぶりに更新。デビュー3年目の今年は数字上の大きな目標は立てず、戌(いぬ)年にちなんで“ワン(1)”とほえるように「1勝」ずつ地道に積み重ねていく決意を示した。(取材、構成・西山智昭、坂本達洋)

 ―2年目の昨年は、年間14勝を挙げてJRA通算20勝に到達。勝ち星を大きく増やしました。

 「1年目より、少しは成長できたかなと思う1年でした。たくさんの馬に乗せていただいて、勝つことができた数字。それでもまだまだ足りない部分があって、取りこぼしたレースもあったと思うので、その部分は来年に向けての課題かなと思います」

 ―具体的な課題を挙げるとどのあたりでしょうか。

 「勝てるなと思ってしまうと、ゴール板の近くで焦ってしまうというか…。1年目の時よりはマシなんですけど、それでも勝てそうだなと思うと、いつもより余計に焦ってしまう。そういう部分がありました」

 ―JRA女性騎手の年間最多勝記録も20年ぶりに更新しました【注1】。

 「私自身は、あまり意識していなかったんですけど、いろいろな方に『おめでとう』と言ってもらったりとか、達成する前に『あと1勝だね』とか言ってもらったりして、達成できたことはすごくうれしかったです」

 ―8勝を挙げた新潟は、特に相性が良かったように映ります。

 「夏競馬が始まって、福島で勝てなくて内心はすごく焦っていたんですけど、新潟でたくさん勝つことができた(8月に計4勝)。気持ち的には特にいつもと変わりなく、1年目とも変わりないんですけど、新潟で少し結果を出せたのは良かったなと思います。今年は初めて行った競馬場もたくさんあって、また、初めて行った場所で勝てたことは、すごくうれしくてありがたいことだと思います。小倉とかでも、本当にたくさんの方に応援していただいているな、と改めて実感しました」

 ―勝ったレースの中で会心の騎乗だと思うのは?

 「難しいですけど、どれも全部覚えていて、どれも全部うれしかったです。そのなかで言うとすると、福島で勝ったシトロプシスかな【注2】。自分が想像していたイメージ通りに乗れたという意味で良かったかなと思います」

 ―20歳になって心境の変化はありますか。

 「そうですね、心境とかは特に変わりはないです。(周囲の対応も)そんなに大きくは変わらないですけど、大人としてしっかり責任があると思うので、その部分はしっかりしていきたい。自分が変わらなくても、周りの見方が変わると思うので、そのあたりはしっかり気をつけていきたい」

 ―勝利数などの目標については、どのように考えていますか。

 「数字では(目標を)全く立てていなくて、これからもずっと変わらずなんですけど、ひとつひとつ勝ち星を重ねていけたらいいなと思っています。それは去年も今年も同じですね。もっと技術的にも成長できるように、日頃から気をつけていこうかなと思っています。今年は、もっと力強く追うことができるようにと思います」

 ―勝ち星を重ねれば、今年中にG1騎乗の権利も手に入るかもしれない【注3】。

 「本当にそれは、ひとつひとつ勝っていった結果。早く31勝したいなと思いますし、G1に乗せていただけるようなジョッキーになりたいと思います。やはり(外から見ていても)G1は全然違いますね。そういう信頼していただけるジョッキーになるのは、ひとつの目標です」

 ―競馬以外の自分の時間はしっかり取れているでしょうか。

 「それは取れていますね。車でドライブ? あまり目的がないと行かないですけど、行動範囲が広がったりしました。料理? 徐々に簡単なものからです(笑い)」

 ―昨年1月には武豊騎手とともにマカオで騎乗する機会もありました【注4】。

 「(海外は)また機会をいただければ、積極的に行きたいと思います。すごくいい経験になりました。(武豊騎手は)関西の方ですし、それまでそんなに一緒のレースに乗ることもなかったので本当にいろいろと教えていただきました」

 ―苦労も多いと思うが、騎手という仕事を改めてどう思うか。

 「勝った時は楽しいですし、うれしいです。普段はなんて言うんですかね、楽しいと言うより、やりがいを感じるというのは思います」

 ―最後に改めて今年の抱負を教えて下さい。

 「目標は変わらず、次の1勝をすることです。それを積み重ねていきたいと思いますし、3年目になり、新たに後輩も出てきますし、そういう部分でより一層、今年よりも技術面、精神面で成長していきたいと思います」

 【注1】10月21日の新潟11R・飛翼特別のベルモントラハイナで、年間12勝目をマーク。牧原(現姓増沢)由貴子が、デビュー2年目の97年に記録した11勝を上回った。

 【注2】11月12日の福島2Rで5番人気のシトロプシスに騎乗。直線で大外から豪快に追い込み、鼻差でゴール前の大接戦を制した。

 【注3】JRAのGIレースに騎乗するには、通算31勝以上が条件となる。

 【注4】17年1月21日にマカオのタイパ競馬場で行われた「マカオ国際男女混合ジョッキーズチャレンジ」にJRAから武豊とともに出場。

 ◆藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年8月9日、茨城県生まれ。20歳。美浦・根本康広厩舎所属。16年3月3日に地方・川崎競馬でデビュー。同24日の浦和3R(アスキーコード)で初勝利を挙げた。JRA初勝利は4月10日の福島9R(サニーデイズ)。2年目の今年は14勝を挙げて、JRA女性騎手の年間最多勝記録を20年ぶりに更新。JRA通算20勝。家族は両親と弟。身長157・4センチ、体重45・6キロ。血液型A。

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