【こちら日高支局です 古谷剛彦】サマーセール売却総額レコード 静内農業高校上場馬が520万円で落札

北海道静内農業高校の上場馬ナリタトップスター2020
北海道静内農業高校の上場馬ナリタトップスター2020

 先週に引き続き、「サマーセール」を振り返る。今年は、8月23日から27日の5日間での実施となった。6月18日に締め切った上場申込が、1400頭を超えた。昨年が1072頭だったことを考えると、約230頭の増加となり、当初の4日間開催では、1日当たりの上場馬のキャパを超えるため、1日延長して開催された。欠場などもあり、最終的な上場馬は1336頭(牡736頭、牝600頭)で、サマーセール史上、最多頭数を記録。売却頭数は1004頭(牡565頭、牝439頭)で、売却率は75.15%(前年比1.81ポイント減)だったが、頭数が増えれば率は下がっても致し方ない。その状況でも1.81ポイント程度の減少で、歴代3位の売却率なら、素晴らしい成績だったと言える。売却総額は、62億8400万円(金額は税別)で、前年から10億8230万円増のレコードを記録。平均価格が625万8964円で、昨年より約5万円ほど下がったが、2年連続で600万円を超えたことは特筆すべき数字だ。

 全体の最高価格は、初日のトップバッターだったタイニーダンサー2020(牡、父ヘニーヒューズ)の4200万円で、宮崎俊也氏が落札した。母は15年エーデルワイス賞、北海道2歳優駿を連勝。16年には関東オークスも制すなど、地方の舞台で活躍した。日高の人気種牡馬で、JRAダート部門の首位を走るヘニーヒューズ産駒という点からも、比較展示の段階で多くの関係者が視線を注いでいた。初日から最終日まで、売却率は7割を超え、4日目は8割を超えた(80.16%)。近年はどのセールでも、ただただ驚くばかりの数字を記録するが、この「サマーセール」も初日からストロングセールとなり、終了時間が午後8時間際という状況だったほど。それだけ、活気に満ちたセールだった。

 4日目は、北海道静内農業高等学校(以下、静農)の上場馬が登場した。セール直前の22日に、昨年の取引馬であるテイエムケントオーが札幌1Rで2着に健闘したこともあり、多くの報道陣が注目した。今年の上場馬はナリタトップスター2020(牡、父マクフィ)、520万円で(有)ミルファームが落札した。ミルファームの清水敏代表は、「静農の上場馬は毎年、人気がありますし、斎藤誠調教師が、ぜひやりたいとお話していただけたこともあり、落札できて良かったです。同じ日高地区ですから、生徒の方々も見に来やすい場所だと思いますから、ぜひ見に来ていただきたいですね。私たちのスタッフにも静農の卒業生がいますし、地元の方々に助けていただいていますから、頑張って走らせなければというプレッシャーも感じます。静農のイメージが湧くような馬名をつけたいですね」と話した。

 セールは活況だったが、1つの市場で上場頭数が偏ってしまうと、終了時刻がどうしても遅くなる。千歳に宿泊する購買関係者のための送迎バスは、セリ終了後に出発するので、どうしても帰りが遅くなってしまう。本来は、「セプテンバーセール」「オータムセール」を含め、馬の成長に見合った時期に上場するよう、1か月置きにセールを設定した。ただ、「サマーセール」の売れ行きが驚異的だと、出す側とすれば売れるセールに上場させたいという気持ちになるのは当然だろう。オールカマーの市場なので、受けたものは断れない性質の市場であり、主催者としても歯がゆさはある。19年に創設された「セプテンバーセール」も、2年連続で7割を超えるセールを展開しているが、平均価格が400万円台なので、「サマーセール」と比較すると100万円以上低い。その辺りの数字を、生産者も気にしてしまうところだろう。

 ただ、昨年の「セプテンバーセール」では、バビットが「セントライト記念」を勝った直後に、バビットの半弟が上場され、2500万円の高値となった例もある。5月の遅生まれなので、少しでも時期をずらした上場のタイミングとなったが、思った以上の競り合いに、大北牧場の関係者も喜んでいた。来年の「サマーセール」を占う意味でも、「セプテンバーセール」の成績は大変重要だ。(競馬ライター)

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