【オークス】リバティアイランドの川田将雅騎手「試したかった」将来を見据えた騎乗で牝馬2冠導く

6馬身差で力量差をまざまざと見せつけたリバティアイランド
6馬身差で力量差をまざまざと見せつけたリバティアイランド

◆第84回オークス・G1(5月21日、東京競馬場・芝2400メートル、良)

 第84回オークスは21日、東京競馬場で18頭によって争われ、単勝1・4倍の圧倒的1番人気になったリバティアイランドが6馬身差の圧勝で史上17頭目の牝馬2冠を達成した。鞍上の川田将雅騎手(37)=栗東・フリー=はジェンティルドンナで5馬身差をつけた12年以来の2勝目で、同じく圧倒的1番人気のハープスターで2着に敗れた14年の雪辱に成功。改めて無敵を証明し、秋は堂々、7頭目の牝馬3冠を目指す。

 衝撃、圧巻、文句なし…。どんな形容詞も陳腐に聞こえる完勝劇だ。スタート後、軽くうながされたリバティアイランドはすんなりと6番手を確保。川田が「直線で進路をつくれさえすればと思っていました」と振り返る通り、前が開くと馬なりのまま加速した。追われた残り400メートル過ぎからは、一頭だけ次元が違う脚でグングンと伸びる。まるで他の馬が止まっているのかと、錯覚させるような走りだった。

 鞍上は「先々の戦いを見据えて楽に終わらせるのではなく、2400メートルでどれだけ走れるのかということを試したかった」と、2度、ムチを入れた。2着につけた6馬身差は、鞍上自身が12年にジェンティルドンナで記録した5馬身差を上回り、グレード制導入の84年以降で最大着差。2冠という結果以上に、インパクトを残した。

 川田にとっても特別な勝利だ。オークスは14年、単勝1・3倍の支持を集めたハープスターで差し届かず2着に敗れた因縁の舞台。今回も1・4倍という圧倒的な人気だっただけに、百戦錬磨の名手も重圧の大きさをうかがわせた。第一声は「とてもホッとしています」。昨年、自身初のリーディングに輝き、今年は歴代リーディングの勝率、連対率を大きく上回るペースで快走中。トップジョッキーの威厳をまとい、ゴール板を先頭で駆け抜けた。

 夢は果てしなく膨らむ。鞍上が「秋だけじゃなく、それ以降もというポテンシャルを持っている馬ですから、楽しんでいただけるように準備したいです」と視線を遠くに向ければ、中内田調教師も「この馬にしかない資格があるので、それを目指していきたい」と、史上7頭目の牝馬3冠挑戦を示唆。馬主のサンデーレーシング・吉田俊介代表は「来年は海外遠征も考えることになるでしょう」と大きな青写真を描いた。秋華賞(10月15日、京都)、そしてその先にある大舞台へ、視界はクリアすぎる程に澄み渡っている。(角田 晨)

歓声自粛に感謝

 川田は追い切り日の17日の会見で「ゲートを出るまで歓声の我慢を」と異例の呼びかけをしていた。効果はてきめんで、スタンドのファンは歓声を自粛。大きな出遅れもなく無事にスタートが切られた。川田はウイナーズサークルで「発走の時に2秒ちょっと待ってほしいとお願いしましたが、そのおかげで安全なスタートを切ることができましたし、とてもありがたく思いました」と感謝を述べた。

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