◆第64回宝塚記念・G1(6月25日、阪神・芝2200メートル)
春のG1シリーズ最終戦、第64回宝塚記念・G1(25日、阪神)を前に、美浦・鹿戸雄一調教師の長女でタレントの成瀬琴が、イクイノックス(牡4歳、美浦・木村厩舎)に騎乗するクリストフ・ルメール騎手=(44)栗東・フリー=を直撃した。ドバイの勝利で世界一に上り詰めた“天才”を「バレリーナみたい!」と分析。躍進する日本競馬についても語るなど、2人の対談を19、20日の2回に分けて掲載する。(構成・玉木 宏征)
成瀬(以下、成)「ルメールさん、おはようございます! 早速ですが、イクイノックスの1週前追い切りを前夜から初めて訪問した栗東トレセンで、拝見させてもらいましたが、どうでしたか?」
ルメール(以下、ル)「良かった。改めて、久しぶりに乗ることができてうれしかったです。この馬に乗るのは特別ですね。緊張はしないけど、楽しい」
成「(前走の)ドバイ・シーマクラシックは、同じ日(3月25日)に父が管理するウインカーネリアンも出走(ゴドルフィンマイル=6着)していて、イクイノックスもナマで見ていましたが、本当に強かったですね!」
ル「ちょっとエキサイトしていました。初めてのナイター競馬と、音がすごくノイジーで、返し馬からすごく走りたがっていた。今朝(6月14日)は(栗東の環境にも慣れて)すごく落ち着いて、馬場入りの時も全然パニックになっていなかった」
成「レースでの成長は感じましたか?」
ル「大人になって、パワーアップして速い反応ができるようになりました。スタミナも良くなってきました」
成「イクイノックスのストロングポイントはどの辺りでしょうか?」
ル「全部ぐらい持っている(笑い)。スピードがありますし、スタミナもあります。やっぱりG1レベルでは瞬発力が必要ですが、彼は持っています。天皇賞・秋は、加速しました。ほとんどパーフェクトな馬ですね」
成「(主戦を務めた)アーモンドアイもスーパーホースでしたが、似ているところとかはありますか?」
ル「走り方はちょっと違いますね。2頭ともスピードとスタミナと瞬発力があります。アーモンドアイは突然、加速できたね。イクイノックスはちょっとじりじり、じわじわですね」
成「アーモンドアイが最後、(5歳で)ジャパンCを勝った時が490キロ。イクイノックスは(3歳で挑んだ)去年の有馬記念が492キロで、体重は同じぐらいですね?」
ル「アーモンドアイはムキムキで『バーン!』としていました。イクイノックスはバレリーナみたいで、スムーズにだんだんと加速します。やっぱりアーモンドアイはすごすぎました。(現時点では)日本で乗った馬で一番です。イクイノックスはまだ(4歳で)G1、3つですから。(アーモンドアイと同じ)9回勝つまで働かないといけないね(笑い)」=20日につづく=
◆成瀬 琴(なるせ・こと)茨城県出身。馬事文化応援グループ「桜花のキセキ」元メンバー。解散後はフリーでタレントとして活動。競馬を好きになったきっかけはゼンノロブロイ。「それまで馬はかわいいものだったけど、泥臭い感じがカッコいいと思いました」。大学では馬術部のマネジャーを務めた。趣味はサウナ。猫を飼っている。