ぬいぐるみになる“ヤッコちゃん”への思い 担当の田村助手「こういう馬に携われて幸せです」

栗東滞在当時のハヤヤッコ
栗東滞在当時のハヤヤッコ

 19年のレパードSと、22年の函館記念を勝った白毛馬のハヤヤッコ(牡8歳、美浦・国枝栄厩舎、父キングカメハメハ)は高い人気を集めている。先日に行われた人気企画「アイドルホースオーディション2024」では多くのライバルとの激戦となったが、1万215票を集めて2位に入り、見事にぬいぐるみ化を確定させた。

 担当する田村亮平助手は「僕もたくさん投票を呼びかけました。(結果が出て)嫁さんも喜んでました」と笑顔を浮かべた。函館記念を勝った2022年も最終選考(10頭中5位に入れればぬいぐるみ化)にノミネートされたが、当時は選ばれなかっただけに、喜びも大きかった。

 今年の1位は9歳のマイネルファンロンだった。田村さんは「高齢馬で頑張っている姿をファンが応援してくれているんだろうね」と選ばれた理由を推測した。ハヤヤッコも8歳で前走のタイランドCで3着に入り、まだまだ元気だ。「脚もとの不安もないし、この歳まで走り続けてくれて偉い」と2歳の頃から6年以上も担当しているパートナーを思い、目を細めた。

 毎年夏に滞在する函館競馬場では、ガラス越しではあるが、調教に向かう前や、クールダウンする様子をファンがパドックから見ることができる。「小さい子が“ヤッコちゃん来てくれてありがとう”って書いてきてくれてね。まさにアイドルホースだよ。こういう馬に携われて幸せです」と優しい笑顔を浮かべた。

ハヤヤッコと田村亮平助手
ハヤヤッコと田村亮平助手

 見た目はかわいいハヤヤッコだが、普段は気性が荒くやんちゃ。田村さんは「ヤッコちゃんはケンカしてくる。“あの人”怖いんだもん」と苦笑いする。栗東に滞在した時も、手入れの際に大変そうな場面を記者はよく覚えている。そういう気性だからこそ、レースへの闘志が失われていないのかもしれない。田村さんだからこそ、ハヤヤッコも安心して自分をアピールしているのだろう。

 田村さんにとって、ヤッコちゃんはどんな存在ですか?と聞いてみた。しばらく考えた田村さんは「初めて重賞を勝たせてもらってね…うん。でも、なかなかうまく言葉にはできないですね。ファンのみなさんには、引退までずっと応援してもらえたら、ヤッコちゃんも僕もうれしい」と少し照れくさそうに話した。

 ハヤヤッコは白い馬だから人気があるのではなく、ここまでコツコツと頑張って走ってきたから人気が出た。記者はそう思う。“本人”の代わりにはならないが、見ればすぐにその馬を思い出すことができるのがぬいぐるみのよさだ。きっと何年たっても、たくさんのファンのそばにヤッコちゃんは存在しつづけることだろう。(中央競馬担当・山下 優)

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