◆コックスプレート・豪G1(日本時間10月26日・15時10分発走予定、ムーニーバレー競馬場・芝2040メートル)
広い視野でベストのターゲットを選択した。プログノーシス(牡6歳、栗東・中内田充正厩舎、父ディープインパクト)は今回が4度目の海外遠征。過去3回は香港で勝利こそないが2、5、2着と好走を続けている。海を渡ることは、決して特別なことではない。中内田調教師も参戦の意図を、こう説明する。
「第一に招待されないと、このプランはなかった。ムーニーバレーの主催者に感謝したいです。洋芝でも走るということは見せてくれていますからね。2000メートルがベストじゃないかと思っている馬で、世界を見ても条件的にいいのかなと思っています」
2019年にリスグラシューが勝利。日本馬も結果を出している舞台へ向け、入念に準備を重ねてきた。前走の札幌記念でまさかの4着に敗れた後も函館を経由して、栗東に戻って調整。先月29日に出国後、現地で1か月近く調整を続け、17日にはレースが行われるムーニーバレー競馬場の芝コースで、新たにコンビを組むダミアン・レーン騎手=豪州・フリー=を背に追い切られた。その後はレーン騎手の騎乗でゲートの確認もしている。
「海外は何度も経験している馬ですから、順応は早かったです。輸送もうまくクリアしてくれましたね。メインの追い切り(17日)はレーン騎手に乗ってもらい、予定より速くなりましたが、ムーニーバレーを経験させることが狙い。ジョッキーのフィードバックもよかったし、具合はいいです」
デビューは3歳3月と新馬戦に間に合わなかった。決して強くはない体質と相談しながら、4歳春にオープン入り。大切に育てつつ、国内では金鯱賞連覇などG2・3勝を挙げるトップホースに成長した。しかし、G1は国内外で4度挑戦しながらも、手が届いていない。
「ここまで、よく成長してくれたなと思います。期待に応えてくれる馬というのは数%、ひと握りしかいませんから。何とかG1を、と思っています」
苦労したぶんだけ強くなる、大きな勲章への渇望。今度こそ海を超え、悲願を成就する。(山本 武志)