◆第49回エリザベス女王杯・G1(11月10日、京都競馬場・芝2200メートル)
キミノナハマリア(牝4歳)は、浦野和由オーナーのJRA“馬主デビュー”となった馬。同時期に所有したもう一頭の愛馬への思いも胸に、初のG1制覇を期待するオーナーに話を聞いた。
―JRAで所有して1頭目のデビュー馬、キミノナハマリアがエリザベス女王杯に出走します。印象的な名前ですが由来は。
「昔、キミノナハセンターという馬がいて、いい名前だなと。響きが良かったのでピンときて、母(シャドウマリア)から名前をもらいました」
―21年のセレクトセール1歳で落札されました。
「ハービンジャーが好きで、1回だけ手を挙げて帰ろうと思ったら購買できました。同じセールでもう一頭、サビドゥリアという馬を買ったのですが、デビュー前の22年6月に不慮の事故があり、天国に旅立ちました」
―その1か月後にキミノナハマリアがデビューVを飾りました。
「サビドゥリアが守ってくれていると思いました。今でも神棚に蹄鉄と毛を飾っています」
―千田厩舎に預託された経緯はいかがですか。
「(マリアを生産した)社台さんがリストアップしてくれたなかに、千田さんがいました。千田厩舎ならユタカさん(武豊騎手)が乗るかもしれないと。やっぱり僕らの世代はユタカさんですから。北大路特別(5走前、2勝クラス=1着)の日は朝から緊張しましたが(笑い)、一緒に口取りできてうれしかったですね」
―今回の鞍上の鮫島家ともゆかりが深いそうで。3歳春までは鮫島良太騎手も手綱を執りました。
「佐賀競馬に預託する際に、知人を通じて(父・克也さんが佐賀で調教師の)良太を紹介してもらいました。そのつながりで(弟の)克駿にも乗ってもらうようになりました。今では(鮫島克也厩舎の事務をする)お母さんと電話をする方が多いですね(笑い)」
―それでは意気込みを。
「早くからここ目標に、前走で2600メートルを使って距離がもつことも分かりました。(放牧先の宮城県)山元トレセンでもかなり乗り込んで、後肢が固まって本格化したと。最終追い切り後に克駿に電話しましたが、緊張してましたね。以前、ユタカさんも『間隔を空けた方が走る』と言ってましたし、楽しみです」(取材・構成=玉木 宏征)
◆浦野 和由(うらの・かずよし)1966年7月20日、北海道砂川市出身。58歳。北海道在住。障害福祉事業を営む、(株)浦野ホールディングス代表取締役。地方では佐賀、川崎、門別、岩手でも競走馬を所有する。家族構成は妻と1男1女。趣味は野球とゴルフ。