18年の有馬記念を制したブラストワンピースの新たな挑戦 馬場馬術へ転身し日々トレーニングに励む

人懐っこい一面を見せるブラストワンピース
人懐っこい一面を見せるブラストワンピース

 北海道苫小牧市のノーザンホースパーク。ヴァーミリアンやレインボーラインなど先輩G1馬にまじり、現役時代さながらの雄大な馬体を誇るのが18年の有馬記念を制したブラストワンピースだ。厩舎地区で抜群の人気を集めている。

 22年1月に引退。「適性を見込んで」(同パーク広報担当)馬場馬術の乗用馬へと転身した。歩き方だけでも「常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)」の3種類。様々なステップを踏み、演技の正確さや美しさを競う。今年6月の第58回北海道春季馬術大会でデビュー。第2課目Bクラスに出場したが、6頭中最下位に終わった。

 競馬とは180度異なる競技で、覚えることも多い。世話を担当するスタッフの山内竣太郎さんは「やっぱりまだ戸惑いがあるんでしょうね」としつつも「馬体は立派ですし、一生懸命ですからいずれ結果を出してくれると思います」と期待を寄せた。

 現在は午前中にトレーニング、お昼からファンと馬房で触れ合う日々。「本当に人懐っこいです。慣れるまで半年くらいかかる馬もいますが、1~2週間で落ち着いてくれました。たくさんの人が会いに来てくれて、人気のすごさを実感します」と山内さん。最初に写真を撮った時も「普通は、うろちょろしちゃうんですけど、この子はビシッと決めたんですよね」。G1馬の風格は随所に見せている。

 パークの所属馬では、08年天皇賞・春を制したアドマイヤジュピタ、重賞2勝のフォゲッタブルが馬場馬術に転身し、大会で優勝したこともある。競馬での実績はひけを取らないブラストワンピースも「馬事公苑で行われる引退競走馬杯(RRC)のような大きな大会に出場する日がくればいいですね」と山内さん。再び大歓声を浴びる日が来るかも知れない。(角田 晨)

 ◆馬場馬術とは 20メートル×60メートルの長方形の競技アリーナ内で、演技の正確さ、美しさを競う。演技内容がすべて決められている規定演技と、決められた動きを取り入れ音楽とともに行う自由演技がある。五輪では12年ロンドン大会に法華津寛が日本人最年長の71歳で出場した。

 ◆ノーザンホースパーク 北海道苫小牧市美沢にある、ノーザンファームを母体とする体験型テーマパーク。東京ドーム約11個分の広さの敷地に約80頭の馬が生活しており、年間を通じて乗馬体験や引退競走馬見学などを行える。毎年7月に開催される国内最大の競走馬セリ市・セレクトセールの会場でもある。

 ◆ブラストワンピース 父ハービンジャー、母ツルマルワンピース(父キングカメハメハ)。セン8歳。美浦・大竹正博厩舎所属馬として17年11月に東京競馬場でデビュー。18年有馬記念など重賞5勝。19年に凱旋門賞にも出走した(11着)。22年1月に引退。生涯獲得賞金は5億8942万円。

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