◆第34回フェアリーS・G3(1月7日・芝1600メートル、中山競馬場)
タレントの萩本欽一(76)が所有(名義は(株)萩本企画)するジョブックコメンが、第34回フェアリーS・G3(7日、中山)で抽選を突破し重賞初挑戦する。萩本は4日、スポーツ報知の取材に応じ、02年金鯱賞(アンブラスモア17着)以来、16年ぶりとなる所有馬の重賞挑戦の手綱を託す藤田菜七子騎手(20)=美浦・根本厩舎=にエールを送った。
「ワクワクというよりドキドキだね! 北島(三郎)さんならワクワクして見てられるんだろうけど(笑い)。30歳の時から馬主をやってきたけど、メインレースに連れていってくれる馬はなかなか出合えないから」。萩本は少年のような口ぶりで興奮を伝える。馬主歴46年。牧場に馬を見に行くなど力を入れた時期もあったが、思えば思うほど勝利から遠ざかった。「そう簡単に勝てる世界じゃない。馬主をやめたいと思ったんだ」
その時に出合ったのがジョブックコメンだった。厩舎を通じて知り合った馬主から「『よかったらやってみないか?』と言ってくれた人がいて。お金を払おうとしたら『欽ちゃんが持つなら、持っていきな』って、馬をくれたんだ」。その優しさに断れず、「もうこれで終わりにしよう、と。でもキタサン(ブラック)みたいなこともあるかもしれない」。期待半分、諦め半分で所有を決めた。昨夏のデビューから7戦目の前走で初勝利を挙げ、重賞の舞台へ。「『やめるなんて言わないで』と馬が言っているのかもしれない。本当に困ったヤツだ」と笑った。
重賞出走は16年ぶり。小桧山調教師から藤田の鞍上を打診され、「先生、いい物語作りますね」と快諾した。「馬は成績的にちょっと足りないところがあるから、菜七子ちゃんの輝きが欲しい。菜七子ちゃんに愛されて、物語を作ってほしい。彼女の歴史に名を残せたら」と期待を寄せた。
年末には美浦トレセンを訪れて馬を激励。競馬場を訪れたのは、99年ジャパンC(アンブラスモア11着)が最後で、今回も行かない予定だったが、「スケジュールを確認しようかな」と楽しみにしていた。(石野 静香)
<藤田菜七子「うれしいし、ありがたい」>
デビュー3年目を迎えた藤田の重賞騎乗は、昨年のステイヤーズS(サイモントルナーレ10着)以来6度目で、牝馬限定重賞は初騎乗。今回と同じ中山マイルの前走で初勝利を挙げたジョブックコメンとは今回が初コンビで、「重賞に乗せていただく機会をいただいてうれしいですし、ありがたいです」と欽ちゃんに感謝した。
昨年はJRAで14勝を挙げ、1年目の6勝から大きくステップアップ。騎手となって2回目の正月を迎えた今年は、友人と地元の神社へ初詣に出向き、勝利を祈った。「おみくじは大吉でした」とニッコリ。大吉パワーも得て、年明けから全力の騎乗を誓った。
<現2歳弟は欽ちゃん走り>
○…萩本はジョブックコメンの1歳下のエンパイアメーカー産駒の牡馬も所有予定。「お姉ちゃん(ジョブックコメン)みたいに真っすぐ走らないで、欽ちゃん走りしているんだって。先生(小桧山調教師)は『走り方は直さないといけないから、矯正しています』って。お姉ちゃんにはお手本の走りを見せてほしいね」と笑っていた。
◆(株)萩本企画 タレント・萩本欽一の個人事務所と同名の法人馬主。勝負服は桃、青袖白一本輪。97年5月に初出走し、同年6月28日の函館8R(アンブラスモア)でJRA初勝利。同馬は99年の小倉記念を制するなど重賞戦線で活躍した。昨年12月9日の中山3Rをジョブックコメンで制し、JRAでは13年7月20日の福島4R(ジョブックガーター)以来、4年ぶりの勝利を挙げた。JRA通算15勝(うち重賞1勝)。