JRAで99年以来、21年ぶりに一日にダート2重賞が実施された。まさに異例の一日となったが、97年にフェブラリーSが中央で初めてダートのG1に設置されてから24年目。芝よりもマイナーだったダート路線は、90年代半ばから整備が進み、徐々に変わりつつある。
ただ、3歳世代の春の番組において、日本ダービーを中心に多くの芝重賞が組まれている一方で、ダート路線は、日本ダービーの2週間後となる6月のユニコーンSまで重賞がない。3歳ダート路線を進む馬たちに、目標となるレースが中央に少ないのは寂しい限りだ。
そのユニコーンSを圧勝したカフェファラオは、ジャパンダートダービーこそ7着に敗れたが、米3冠馬を父に持つ世界的良血馬。中央の頂点で走る姿を見たいと思うファンも少なくない。コロナ禍で海外挑戦がかなわない現状を考えれば、砂の世代王者を決めるG1創設も将来的な選択肢のひとつとして考えてもいいのではないか。レパードSは09年に創設されたが、3歳ダート路線がさらに充実すれば、古馬と激突するフェブラリーS、チャンピオンズC、交流G1が今以上に盛り上がることは間違いない。
前述したカフェファラオは、米国のOBSマーチセールで購入された良血馬。今年はコロナ禍の影響で米国や欧州セールの延期、中止が相次いでいるため、来年以降の仕入れに影響が出るかもしれないが、3歳G1創設は、ダート路線の興隆にもつながりはしないか。「砂のダービー馬―」。響きは悪くない。(松末 守司)