今年最後の1歳市場となる「オータムセール」が、10月19、20日の2日間、北海道新ひだか町静内の北海道市場で開催された。今回は初めてのセリ上場となる242頭が初日に、過去のセリで主取か欠場となった再申込馬が224頭が2日目に上場された。岩手県と佐賀県の馬主会が、オータムセールの補助馬購買を行い、他の地方競馬の団体購買なども活気に満ちた。
初日の売却率は78・93%(前年比6・93ポイント増)、2日目は77・68%(1・82ポイント増)で、トータル78・33%(4・25ポイント増)とレコードを記録した。売却総額は11億4540万円(金額はすべて税別)だったが、過去に3日間開催もあったので純粋なレコードとは言えないものの、2日間で11億円を超えたのは驚嘆だ。
セール全体の最高価格を記録したのは、初日に上場されたコウユーノミチ2019(牝、父エスポワールシチー)の1100万円。もう1頭の1000万円超えは、オーシャンレディー2019(牡、父パドトロワ)の1020万円だった。
HBA日高軽種馬農業協同組合の木村貢組合長は「直前に静内のクラスターが報道されましたが、我々は万全の態勢でこれまでもセリ開催を行ってきたことを踏まえ、引き続き感染拡大防止策を徹底するよう努めました。客足が遠のくことに不安もありましたが、蓋を開けてみたら多くの方が会場に来て、これまでのセリ同様に活発だったことは、購買関係者の方々に感謝申し上げます」と話していた。
今年は、トレーニングセールが中止され、セレクションセールも1か月遅れの開催となった。その状況の中で、セリ開催をあらゆる方向で行う方策として、ハイブリッドシステム(オンラインビッドの併用)の開発、試験を行っていた。オータムセールでは、そのハイブリッドシステムの試験運用をセール会場の中で希望者を募って行った。2日間で39人の登録があり、4人が落札できたそうだが、タイムラグもほぼなく、ハイブリッドシステムでビッドした場合、場内のモニターに「オンライン」と表示される。
北海道は寒くなってきたことで、室内に人が増えることも想定された中で、今後の実用化に向けてテストをする意味でも、オータムセールがその機だったと考えられる。
「利用された方や鑑定人の意見を聞きながら、来年以降は段階を踏みつつ、運用の拡大を考えています。世界的にオンラインビットは行われている中で、日本でもハイブリッドシステムを活用していく方向を進めていく必要があると考えており、限定的ながらトラブルなく終えたことにホッとしています」と、木村組合長はセールを振り返った。
北海道市場の年間売却総額も、116億2030万円とレコードを記録した。この件は改めて振り返りたいと思う。(競馬ライター)