欧州の風が吹く(海外)

アルカナ社のインスタグラム(@arqana_deauville)より
アルカナ社のインスタグラム(@arqana_deauville)より

 こんにちは。海外セールにスポットを当ててみようと思ったPOGブログのプラスアルファ版。今回は欧州市場に目を向けようと思います。

 米国2歳トレーニングセール出身馬はいかにも即戦力という感じですが、欧州からの輸入馬はほとんどがイヤリングで血統も重厚なイメージがつきまとう。しかも、昔からPOGとは縁が薄いような気がしないでもない。近年の出世馬では、先週の豪州G1・クイーンエリザベスSで5着に粘ったユニコーンライオンが目立った程度でしょうか。2017年英タタソールズ社の12月セール出身で、落札額は85万ギニー(当時のレートで約1億3000万円)。ちなみに、その時の日本人購買者最高価格が140万ギニーのフランケル産駒ファイナルドリーム(4戦未勝利)でした。

 近年の欧州セール出身馬で活躍したと言える代表格は、コスモメドウ(11年ダイヤモンドS優勝)、メーヴェ(12年丹頂S優勝)、バンデ(13年菊花賞3着)……というところですかね。マイネルエテルネル(12年小倉2歳S)のような短距離系もごく稀にいるんですが、どちらかと言えばマラソンレースを主戦場とするタイプが多いんです。そもそも米国市場ほど日本人関連の購買が多くないのも事実。それでも取り上げるのは、過去になかったレベルの超目玉がいるからなんです。

 なかもで仏アルカナ社の8月1歳セールでは大物感漂う2頭が日本人の手に渡りました。20年凱旋門賞馬ソットサスの全弟にあたるシンエンペラー(牡、父シユーニ)を当セール最高落札額の210万ユーロで勝ち取ったのは矢作調教師。当時のレートで2億8000万円超ぐらい。サウジカップやBCなど世界のビッグレースを手にしてきた”巨匠”が、次のターゲットを凱旋門賞に据えた戦略の一環と考えるのは妄想でしょうか。

 もう1頭の落札者も矢作師でした。56万ユーロで購入したのはアウェイキング(牡、父キングマン)。ドイツG2勝ちの半姉など、きょうだいがコンスタントに走っている血統です。母系はドイツで紡がれてきたWラインですが、19年凱旋門賞覇者のヴァルトガイストが出ているのも魅力。ドイツ由来の母系を組み合わせた配合はシュネルマイスターに通じるところもあるでしょう。

 例年の欧州市場で日本に多く輸入されているのが、英タタソールズ社の10月1歳セール。ゴドルフィンやクールモアが高額馬を買い漁るなか、当セール6番目の160万ギニーで日本人が手にしたのがウィローヴューの2021(牡、ドバウィ)でした。こちらも昨秋のレートで約2億8000万円ぐらい。落札者の名義は「JS Company」でしたが、なんとこちらもヤマタケ記者の情報によると入厩先は矢作厩舎だったんです。半兄デジタルエイジはターフクラシックS・米G1(芝1800メートル)制覇。昔のデータまでは遡ることができませんでしたが、ひょっとしたらタタソールズ社1歳セールで落札した日本人購買者では史上最高価格かも。しかも、円安で推移していた時期だけに馬主の並々ならぬ気合を感じております。

 結果的に矢作厩舎特集になってしまいましたが、これらの馬に関してのコメント等は後日、栗東のパッチパチ君からブログ更新がありますので、お楽しみを。

<2022アルカナ社8月セール、日本人関連の主な落札馬>※父×母=購買者(落札額=単位ユーロ)の順

Siyouni × Starlet's Sister = Yoshito Yahagi(2,100,000)

Kingman × Waldjagd = Yoshito Yahagi(560,000)

<2022タタソールズ社10月セール、日本人関連の主な落札馬>※父×母=購買者(落札額=単位ギニー)の順

Make Believe × Wonderfully = Katsumi Yoshida(220,000)

Night of Thunder × Malaspina = Katsumi Yoshida(200,000)

Soldier's Call × Maralika = Katsumi Yoshida(100,000)

Dubawi × Willow View = JS Company(1,600,000)

Zoustar × Charlie Em = JS Company(85,000)

No Nay Never × Easter = North Hills Co(200,000)

▼以下はアルカナ社セールで最高落札額だったソットサス全弟の動画

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