◆第24回チャンピオンズC・G1(12月3日、中京競馬場・ダート1800メートル、良)
第24回チャンピオンズCが3日、中京競馬場で行われ、スポーツ報知コラムニストの坂井瑠星騎手(26)=栗東・矢作厩舎=が騎乗した1番人気のレモンポップが初距離、大外枠を克服し、前走の南部杯に続く逃げ切りでG1・3勝目を飾った。フェブラリーSとの同一年JRAダートG1ダブル制覇は史上4頭目。2着に12番人気ウィルソンテソーロ、3着にも9番人気のドゥラエレーデが入り、3連単190万2720円の波乱となった。
全ての力を振り絞った。レモンポップは先頭のまま直線へ。あと300メートル、200メートル…。ゴールが近付くにつれ、後続も勢いを増す。手応えに余裕がなくなるなか、坂井は必死に腕を動かし続けた。ウィルソンテソーロの猛追を1馬身1/4差でしのぎ、中京開催になった14年以降で初の逃げ切り勝ち。「ドバイの1200メートル(ゴールデンシャヒーン10着)を除いたら、今までで一番手応えがなかった。それでも残ったのは、この馬の能力の高さ」と賛辞が止まらなかった。
史上4頭目となる同一年のダートG1ダブル制覇を達成。これまで走った距離は1600メートルが最長で、コーナー4つの舞台も初めて。坂井は戦前から「挑戦」と位置づけていた。さらに大外15番枠。試練の連続だったが、全てをはねのけてダート界の頂点に立った。「堂々とチャンピオンと言っていい」と胸を張った坂井。最終レース騎乗後にも「すごかったわ…」と感嘆の声をこぼした。
自身を分析すると、「100%理論型」。「全然センスないと思ってるし、馬乗りは全然うまくない」。毎週月曜は全レースの映像を振り返って分析することの繰り返し。この日の逃げの戦法も、「たくさん考えた戦法での一つ」だった。初速の速さを生かしてハナを奪うと、1角を回る前に内ラチ沿いへ。瞬時の判断で、距離のロスを抑える最善策をとった。
初騎乗だった今年のフェブラリーSを制覇。ドバイ・ゴールデンシャヒーンは大敗したが、南部杯を大差勝ちして復活を示した。苦楽を味わいながらコンビでG13勝を挙げ、さらにこの勝利で自身初のJRA年間100勝にも王手。「乗っていて安心感があるし、自信を持って乗れる、心強いパートナー」。最強の相棒とともに、スター街道を歩み続けている。
次走は明言されなかったが、坂井は「ドバイで悔しい思いをしたので、この馬とリベンジしたい」と闘志を燃やす。かねて掲げるのは「海外のビッグレースでも当たり前に乗って、当たり前に勝つジョッキーになりたい」という目標。砂の王者レモンポップとなら、大きな大きな夢もかなえられる。(水納 愛美)
◆レモンポップ 父レモンドロップキッド、母アンリーチャブル(父ジャイアンツコーズウェイ)。美浦・田中博康厩舎所属の牡5歳。米国のO・テイト夫妻の生産。通算14戦10勝(うち地方1戦1勝、海外1戦0勝)。総獲得賞金は4億8175万6000円(うち地方7000万円)。重賞4勝目。主な勝ち鞍は23年フェブラリーS、23年南部杯(以上G1)、23年根岸S(G3)。馬主はゴドルフィン。