数多の名馬を送り出したディープインパクトの産駒の中でも、グッドルッキングホースといえばサトノダイヤモンドを思い浮かべる方も多いのでは。記者も2016年の皐月賞で初めて見た時、馬名の通りダイヤの形の流星に、均整の取れた好馬体に目を奪われた。
母マルペンサはアルゼンチンのG1を3勝した名牝。サトノダイヤンドは16年の日本ダービーこそハナ差2着(1着はマカヒキ)で涙をのんだが、同年の菊花賞、有馬記念を制覇した。この戦歴から種牡馬としての活躍を期待したが昨年、産駒がデビューしてから重賞勝ち馬は今のところサトノグランツ(2023年京都新聞杯、神戸新聞杯)だけ。やや晩成傾向で、切れ味より持続力タイプが多いためか、勝ち上がりに時間を要している。さらに先日、社台スタリオンステーションからブリーダーズ・スタリオン・ステーションへ移動した。
そんな状況で好転へのきっかけになってくれるのではと思わせる存在が、抽選を突破し、12月28日のホープフルS・G1に出走するタリフライン(牡2歳、美浦・古賀慎明厩舎)だ。
今秋の東京での新馬戦(芝1800メートル)では抜群の手応えで直線を迎えると、メンバー最速となる上がり3ハロン33秒4の切れ味で、外からあっさり差し切り快勝。古賀慎調教師が「新馬戦の時はまだトモ(後肢)の感じに緩さが残り、どうかと思ったけど4角から格好良く上がっていって、しまいもいい伸びて、正直驚きました」と振り返るように、想像以上のパフォーマンスだった。
デビュー2戦目でのG1挑戦へ。放牧で成長を促し、帰厩後は父に似た好馬体がさらに洗練された。「トップラインから背中にかけてきれいな馬で、距離が延びて力を出せるし、成長力も備わっている」とトレーナーの言葉からも期待の高さがうかがえる。
父の産駒は芝での38勝中、断トツの16勝を2000メートルでマーク。さらに全場でトップの7勝を中山で挙げ、中山2000メートルはベストの舞台といえる。サトノダイヤモンド産駒の逆襲の旗振り役として父に初G1勝利を届け、クラシック戦線の主役に名乗りを上げる準備は万端だ。(中央競馬担当・松井 中央)