◆第54回高松宮記念・G1(3月24日、中京・芝1200メートル)
春G1シリーズ開幕戦、第54回高松宮記念は24日、中京・芝1200メートルで行われる。重賞2連勝中のウインマーベルは5歳の充実期で迎える大一番。昨年2ケタ着順からの戴冠(たいかん)へ「こんなチャンスはなかなかない」と陣営も期待十分だ。
1年越しの雪辱へ、機は熟した。重賞2連勝中のウインマーベルが、初の勲章を取りにいく。昨年は道悪に泣いて10着に終わったが、同レースはG1に昇格した96年以降で前年2ケタ着順から巻き返して制した馬が10年キンシャサノキセキなど4頭。「雪辱」が代名詞でもある。勝てば厩舎としてG1初制覇となる深山調教師は「今年はいい流れできている。厩舎の初重賞もこの馬だし、こんなチャンスはなかなかない」と気持ちを高めている。
2走前に打った布石が今につながっている。昨年暮れの阪神C前に、やや頭の高い走法を修正するため、普段の乗り手を替え、より乗馬的なハミ受けや姿勢に替えた。発馬で出遅れることもあったが、ゲート内の駐立の姿勢を意識し、両脚でしっかり踏ん張ることで、よりゲートを出やすくするよう取り組んできた。好発から先手を取り、阪神C、阪急杯と近2戦で重賞を連勝。トレーナーは「それだけじゃないけど、最近はしっかりハミを下にとって行くような走りに変わってきている。精神的な成長も伴ってこの2戦につながったのだと思う」と成果を口にする。
それは調教の走りにも如実に表れる。以前は格下馬にあおられ調教は動かない馬と言われてきたが、13日の1週前追い切りでは、エリオトローピオ(5歳3勝クラス)を追走し、楽に追いつくと6ハロン85秒8―11秒5をマークし、まるで別馬のような満点の走りで楽々、2馬身先着してみせた。師は「抜け出してからも集中していたし、昨秋から気合も乗ってきましたね。いろいろかみ合って調教でも動けるようになりました」と自信を深める。
前走の阪急杯では道悪も克服し、5歳を迎え充実期に入った。昨年はシルクロードS(7着)からの臨戦だったことを考えれば、勢いはまったく違う。「馬場とかスタートとか条件がかみ合えば結果はついてくるとは思っています」。中京の6ハロン戦は葵Sを制し、初タイトルを手にしているように舞台に不足はない。群雄割拠のスプリント路線統一へ―、人馬初の頂点の座を奪いにいく。(松末 守司)