【日本ダービー】56歳3か月4日でJRA・G1最年長勝利!横山典弘騎手、歓喜の“デットーリジャンプ”

ダノンデサイルから“デットーリジャンプ”を披露する横山典(カメラ・高橋 由二)
ダノンデサイルから“デットーリジャンプ”を披露する横山典(カメラ・高橋 由二)
ダノンデサイル(左)は直線でインから抜け出し日本ダービーを制した(カメラ・佐々木 清勝)
ダノンデサイル(左)は直線でインから抜け出し日本ダービーを制した(カメラ・佐々木 清勝)

◆第91回日本ダービー・G1(5月26日、東京競馬場・芝2400メートル、良)

 第91回日本ダービー・G1は26日、東京競馬場で行われ、9番人気で皐月賞は競走除外だったダノンデサイルが、無敗2冠を目指したジャスティンミラノなどを破ってV。横山典弘騎手=美浦・フリー=は愛馬を見事にエスコートし、56歳3か月4日でJRA・G1最年長勝利となった。

 わずかに開いたVロードを逃さなかった。最後の直線。横山典は好位のインでジッと息を潜めていたダノンデサイルを最内へと導いた。全くロスのない立ち回りで逃げるエコロヴァルツをラスト300メートルでかわすと、右ステッキで弾けるように加速。7万人を超える大歓声に包まれた広い直線で、2冠を狙うジャスティンミラノなどを一気に突き放す。円熟の技術を詰め込むような騎乗で2馬身差の快勝だった。

 10年ぶりで3度目のダービー制覇は武豊を超え史上最年長となる56歳3か月4日でのG1勝利。「やはり一番年長なので息子たちだけではなく、みんなが祝福してくれたのでホッとしました」。14年、2度目の制覇時と同じ“デットーリジャンプ”も披露したベテランには、特別な思いもあった。「あんなことがあっても、馬は大事にしてくれれば応えてくれる。すごい馬に感謝です」。

 皐月賞は返し馬が終わった後に右前肢の違和感を感じ、競走除外を選択。レースに参加できなかった。中間もなかなか本来の姿を取り戻せず、負荷をかけた16日の1週前追い切り後に「これでどれだけ走れるか」とスタッフに伝えたほど。戦前は無敗馬や牝馬のダービー挑戦が注目され、9番人気という評価だったが、鮮やかな復活V。「俺のやっていること、調教師や厩務員さんのつくり方に間違いはない。それを結果で示せて、最高のレース」と語った。

 今年で39年目。JRA騎手では57歳の柴田善、56歳の小牧太に次ぐ年長3番目の大ベテランは、21年秋から栗東に滞在。追い切りの少ない火曜や金曜も調教によく顔を出す。15歳下の安田調教師ともよく熱心に会話。「(安田師は)助手時代から話をしていた素晴らしいホースマン。彼のこういう馬で力を発揮させられて良かった」。ダービーを見据えた昨秋の東京でのデビュー戦から手綱を執り続け、二人で大きな勝利をつかみ取った。

 今後は状態を見ながら決められる。「本当にいい時のデサイルの走りではないけど、この前よりは良かった。また無事に走ってくれることを願うだけです」と横山典。まだ進化を続ける熟練の手綱さばきで、底知れない能力を引き出していく。(山本 武志)

 ダノンデサイル 父エピファネイア、母トップデサイル(父コングラツ)。栗東・安田翔伍厩舎所属の牡3歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算5戦3勝。重賞2勝目。主な勝ち鞍は京成杯・G3(24年)。総獲得賞金は3億8200万円。馬主は(株)ダノックス。

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