真夏のスーパーG2・札幌記念を現地取材した馬トクスタッフが、思い出の年を振り返る。
忘れかけていた感覚がよみがえった。21年はまだコロナ禍の影響で、札幌競馬場の発売席数は上限が1362席。そんななか、ソダシの白い馬体が先頭でゴール板を駆け抜け、検量室前へ引き揚げてきた瞬間だ。とても入場制限がかかっているとは思えない大きな拍手に包まれたのだ。以前は当たり前だったが、無観客競馬も経験した当時は妙に新鮮で、うれしくなったことをよく覚えている。
そんな祝福も納得の強さだった。初黒星を喫したオークス以来で、復活をかけた一戦。道中でブラストワンピースのまくりに全く動じず、好位から抜け出した直線ではラヴズオンリーユーの追い上げも完全に封じ込む。年長の実績馬を相手に3歳牝馬が横綱相撲。「ソダシがやってくれました」と須貝調教師も喜んでいた。
翌年は5着に敗れたが、ハヤヤッコとのJRA重賞初の白毛馬対決で盛り上げた。もともと、北海道は2歳時にデビュー2連勝を飾り、ダート色の強い血統ながら、芝の王道路線を歩むことが決まった地。白毛のアイドルは北の大地を愛し、愛されていた。(山本 武志)