真夏のスーパーG2・札幌記念を現地取材した馬トクスタッフが、思い出の年を振り返る。
今年のメンバーを見渡してもそうだが、札幌記念から秋への第一歩を踏み出す実績馬は多い。一方で飛躍のきっかけをつかんだ馬もいる。22年に3着に好走したウインマリリンは、間違いなくその一頭だ。連覇を狙った1番人気のソダシが5着に沈んだ一方で、後に大阪杯を制したジャックドール、すでにドバイ・ターフを勝っていたパンサラッサに続く3着となれば、中身の濃さが分かる。
前年のオールカマーを最後に白星から遠ざかり、前走の宝塚記念も7着と成績は精彩を欠いていた。それでも復調の兆しはあった。以前からレースを使った反動で右前脚の肘腫(ちゅうしゅ)に悩まされていたが「何も気にせずできたのは、今回が初めて。やれるんじゃないですか」と手塚調教師の歯切れが良かったのは今でも覚えている。
レースは好位3番手からロスなく立ち回り、勝ち馬から0秒2差なら負けて強しと言えた。そこからエリザベス女王杯(2着)、そして香港ヴァーズで悲願の初G1制覇へ羽ばたいたことを思うと感慨深い。復活や飛躍をイメージして、今年はノースブリッジやステラヴェローチェが気になる。(坂本 達洋)