新人記者が過ごした3か月…競馬知識ゼロからの奮闘記 ゲームでも勉強

田口貫太騎手を取材する山本理貴記者(左奥)
田口貫太騎手を取材する山本理貴記者(左奥)
山本理貴記者が取材した河原田菜々騎手
山本理貴記者が取材した河原田菜々騎手

 今年の春に入社し、2か月がたとうとする頃。突然、上司に呼ばれ、「明日から、中央競馬の担当として頑張ってほしい」と、レース部への仮配属を告げられた。正直、不安だらけだった。小学校3年生からずっと野球一筋だった私。新人研修で競馬場に足を運ぶまで、馬券を買ったことはおろか、テレビですら一切競馬を見たことはなく、知識はゼロに等しかった。競馬関係で名前を知っていたのはバラエティ番組にたびたび出演していた武豊騎手ぐらい(小学生の頃は「ぶほう」という名字の人だと思っていました…)。競馬ファンなら知らない人はいないであろう世界的名馬ディープインパクト、オルフェーヴルすら名前を聞いたことがなく、有馬記念の「有馬」は、有馬温泉のことだと思っていた。「まったくの素人の自分に務まるのかな、大丈夫かな」というのが率直な気持ちだった。

 6月1日に仮配属され、まずは会社で競馬についての基本的な勉強から始めた。原稿を読んで、「ハミ」、「追い切り」、「叩く」など知らない単語が出てくるたびに用語辞典で調べ、少しずつ知識を増やしていった。また、レースの映像を見て解説してもらい、この展開ではこういう表現をするのだということも勉強した。

 3週間目に初めて、栗東トレセンに取材に行った。その週は午前5時30分から調教開始だったが、寝坊の恐怖からくる緊張でなかなか寝付けず。午前3時30分には起きてしまった。眠い目をこすりながらトレセンの敷地内に入ると、飛び込んできたのは見渡す限りの厩舎施設と何頭もの競走馬が列をなして調教へ向かう光景。「なんだかすごいところに来てしまったな…」と思った。最初は先輩の後ろをついて回るだけ。囲み取材に入っても何を聞けばいいのか分からず、ただ聞いていることしかできなかったが、少しずつ一人で取材に行くようになり、原稿も任せてもらえるようになり、毎週トレセン内を歩き回っている。

 特に印象に残っているのは8月14日付の紙面に掲載された河原田菜々騎手のインタビュー。自分なりに準備をして取材に臨んだが、終わってから「これは聞いておかないといけなかった…」という反省ばかり。もっと彼女の魅力、競馬に懸ける想いを引き出せたのではないかと思うと悔しかったが、今後の糧となるいい経験ができた。

 最近、競馬好きな同期のすすめで、競馬シミュレーションゲーム「ウイニングポスト」の最新版を購入した。日本競馬史と血統背景を勉強しつつ、オーナーブリーダーとして3冠馬を生み出すべく、暇を見つけてはプレイしている。現在進めているのは1994年編。“シャドーロールの怪物”ナリタブライアンに全く歯が立たず、悔しい思いをしているが、楽しみながら競馬について学んでいる。

 競馬担当になって3か月。まだまだ知らないことばかりで、原稿を書く手が止まることはしょっちゅうだ。大変だなと思ったことも1度や2度ではない。それでも、この3か月は充実していて、楽しかった。知っていることが増えていくこと、自分なりにした予想が当たった瞬間は、やはりうれしい。競馬担当になってから重賞限定で馬券を買い始めた。少しずつ当たるようになってきた(収支がプラスかはノーコメント)が、券種の選択も含めて奥の深さを感じている。今では、競馬担当に配属されて本当によかったと思っている。これからも一歩一歩、競馬を楽しみながら成長していきたい。(山本 理貴)

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