◆第69回京成杯AH・G3(9月8日、中山競馬場・芝1600メートル)
今週の日曜重賞2鞍はサマーシリーズ最終戦。マイル第4戦の第69回京成杯オータムH・G3(8日、中山)は、2戦連続2着のディオがVなら逆転優勝で、管理する栗東・辻野厩舎は21年ロータスランド以来の夏のマイル王者誕生だ。
21年にロータスランドでサマーマイルシリーズを制した辻野厩舎が、シリーズ2戦連続2着のディオで逆転Vを狙っている。ロータスは米子S1着→中京記念5着→関屋記念1着と第3戦まで連続参戦で優勝。今年は最終戦までもつれ込み、優勝するためには勝つしかない状況だが、辻野調教師は「ディオに適した番組を選んで、たまたまこのローテになりました」と馬本位を説明する。ロータスは角居厩舎からの引き継ぎで、開業初年度の快挙。ディオは生え抜きだけに、さぞかし思い入れが強いかと思いきや「特に心境は変わらないですね」と穏やかな表情で気負いはない。
21年、シリーズ優勝の褒賞金として厩舎関係者に600万円が交付された際は、スタッフに臨時ボーナスを支給したという。辻野厩舎は今、暑熱対策で屋根を断熱性に優れる瓦に置き換えている真っただ中。この日も工事のため厩舎の半分に足場が立っており、かなりの費用がかかる。「(優勝したら)工事費用に充てますか?」と水を向けると、指揮官は「今年も臨時ボーナスですね」と笑い、「サマーマイルシリーズよりも、ディオに重賞をという意識の方が強いです。お兄さんに続きたい」と同馬主で昨年このレースを勝ったソウルラッシュを引き合いに兄弟連覇に挑む。
1番人気に推された3走前のダービー卿CTは、中2週での再東上もこたえ11着に惨敗。今回は関屋記念からの中3週だ。「あの失敗があるので慎重にやってきました。中山でも勝っていますし、ハンデも想定内。体調さえ整えば。秋に向けて何とかひとつタイトルを取りたいですね」。勝ってG1戦線に名乗りを上げるか。(玉木 宏征)
◆サマーマイルシリーズ優勝の行方 対象レースで1勝以上を挙げたうえで、12ポイント以上を獲得することが条件。G3では1着10ポイント、2着5ポイント、3着4ポイント、4着3ポイント、5着2ポイントで6着以下は1ポイント。現状で逆転優勝の可能性があるのは、京成杯AHに出走予定のディオ(9ポイント)のみ。勝てば19ポイントとなり、米子Sと関屋記念を勝ち18ポイントで独走中のトゥードジボンを上回る。