◆スプリンターズS追い切り(25日・美浦トレセン)
秋のG1シリーズ開幕戦、第58回スプリンターズS(29日、中山)の追い切りが25日、各地で行われた。重賞2連勝中のサトノレーヴは美浦・坂路でレーンを背に3頭併せで躍動。目下の充実ぶりを披露した。
強烈なアピールはいらない。3連勝中のサトノレーヴが、静かに最終デモを終えた。追い切りは、レーンを背にソロモン(2歳1勝クラス)、サトノガレオン(4歳2勝クラス)の2頭を先行させスタートした。心と体の均衡を保ちながら抜群の推進力で前を追うと、直線は540キロ台の馬体を持て余すことなく迫力のフットワークを繰り出し、内から鋭伸。54秒6―11秒9で併入した。
夏に2戦した後は、状態を見極めながら札幌から美浦に移動し、順調に調整。超抜だった1週前(Wコース5ハロン63秒3―11秒2)の動きに続く、ハイパフォーマンスを披露し、完璧な仕上がりを伝えた。鞍上は「動き、状態ともに良かった。馬が自分から前向きな気持ちで走ってくれた」と手応えを隠さなかった。
心身ともに充実期に入っている。堀調教師は以前から「スプリント能力は高い」と評価していたが、後肢の左右のバランスの悪さなどがあり、2度の長期離脱を余儀なくされた。それでも、復帰後は阪急杯4着、春雷Sから前走のレーンが騎乗して圧勝したキーンランドCまで3連勝。サマースプリントシリーズ制覇を果たした。
ここまで9戦7勝。6ハロンに限れば6勝、2着1回と底を見せていない素質馬が、順調にステップを踏みながら5歳秋に開花の時を迎えている。堀師は「成長の遅いタイプだったけど、復帰してから順調に使えているということが一番いいのかな。使うごとにスプリント戦にマッチして、だんだん能力を出せるようになっている」と充実ぶりを伝える。
レーンは今週の騎乗が日曜日だけで、今のところ1頭のみの予定。まさにこの馬のために来日したと言っても過言ではない。「G1でも十分チャンスがあると信じている」。究極の上がり馬が、群雄割拠のスプリント戦線を統一する。(松末 守司)