◆第41回ホープフルS・G1(12月28日、中山競馬場・芝2000メートル)
24年中央競馬の大トリを飾る第41回ホープフルS・G1(28日、中山)に、26年春に定年を迎える国枝栄調教師(69)=美浦=は“ラスト・クラシック”となる現2歳世代から思い入れの深い良血馬のアマキヒを送り込む。
その言葉の端々に期待の大きさが感じられた。暮れのG1に送り込むアマキヒは、自身が手がけた10年の牝馬3冠馬アパパネを母に持ち、21年の秋華賞を制した半姉アカイトリノムスメも手がけてきた。国枝師は「アパパネの子っていうところで楽しみだよね」と、声のトーンも高い。
デビューして1戦1勝でも初戦の中身が濃かった。10月27日の新馬戦(東京・芝2000メートル)は、スムーズに折り合って逃げて、直線での2着馬とのマッチレースでは一度は前に出られたが、余裕たっぷりに差し返して頭差の着差以上に強かった。指揮官も「ああいう競馬で手応えがあったんだろうな。 折り合いも良く、きちんとした競馬」と、うならされた。
前走後は在厩のまま順調に調整を進めてきた。1週前追い切りには新コンビのルメールが美浦に駆けつけて、Wコースで外パラレルヴィジョン(5歳オープン)を1馬身半追走する形から、6ハロン84秒7―12秒3でゴール前で仕掛けて半馬身先着。手綱を執った鞍上が「そんなに時計は速くなかったけど、フットワークが良かった。(走りが)軽いですね。血統すごい(笑)」と、笑顔で好感触を口にしたのは心強い。
アパパネやアーモンドアイなど数々の名牝を手がけてきた国枝師だが、不思議と牡馬クラシックには縁がない。ラストチャンスへ、胸に期する思いはある。「全兄のバードウォッチャーは胴が詰まっていたけど、アマキヒは伸びが全体にある体のつくり。ちょうどいい格好」と、クラシック路線への適性も見込む。来春を見据えて人馬ともに血が騒ぐ。(坂本 達洋)
◆国枝調教師の牡馬クラシック
開業から35年目。10年のアパパネ、18年のアーモンドアイなど2頭の牝馬3冠馬を手がけてJRA・G122勝も、牡馬クラシックは未勝利。
▽皐月賞 7度出走(最高着順は13年のカミノタサハラ4着)
▽日本ダービー 9度出走(18年のコズミックフォース3着)
▽菊花賞 7度出走(20年のサトノフラッグ3着)
ちなみにホープフルSは、唯一挑んだ21年のコマンドラインで1番人気ながら12着だった。