同期の川又賢治騎手が明かす競馬学校時代の横山武史騎手と、自身の現状

川又賢治騎手(本人提供)
川又賢治騎手(本人提供)

 JRAの騎手と厩務員を目指す者が通う競馬学校(千葉県白井市)。授業は17時に終わり、18時から夕飯だが、その間、川又賢治は横山武史と一緒に木馬に乗ったり、自主トレに励んでいた。「僕らの同期はみんな、やる気がありました。みんなで切磋琢磨(せっさたくま)してきました。タケシ(横山武)は体も小さかったから、馬に乗っても力で持っていかれたりして、みんなと同じメニューができてなかったんです。留年の話もありましたが、自分で頑張って何とか食らいついてましたね」。入学した時は一番小さかったが、卒業する時には横山武が一番身長が高かった。向上心の高さで、トレーニングをして体の改造に成功した。

 横山武は、元騎手の蓑田早人教官ら、周りに好かれるような人柄でもあった。「人に恵まれたのも1つの利点というか。僕らは悪さもしないで、本当に真面目にやってました。誰かが和を乱すことがあれば、みんなで注意して。タケシは乗馬とかで和を乱してしまうことがあったので、みんなでカバーし合ってました。そうしようと思わせるのもタケシの人柄ですよね。ホントにいい同期なんですよ」。卒業して4年以上たつが、昨日のことのようにスラスラ出てくる。横山武の話を聞かせてとお願いしたわけだが、最後には「座談会しましょうか?(笑い)」と提案してくれたほどの仲良し同期だ。

 いよいよ日本ダービー(30日、東京)、無敗の皐月賞馬エフフォーリアとのコンビで頂点に挑む同期に、心からのエールを送る。「タケシは生意気なところもありましたけど、今となってはその生意気さも良い方向に成長してますしね。いい意味で人に食ってかかるような。いい意味で遠慮せず、意見を言ってました。ダービーという大舞台でも臆せず立ち向かえるタイプだと思います。是非とも頑張ってほしいですね」

 川又自身もパーソナルトレーナーと騎乗フォームの改善や、体の使い方の確認など日々精進している。「今は成績的にも良くない時期が続いているんですが、信じて依頼してくださる調教師や馬主さんもいらっしゃるので、感謝して地道に頑張っています」。とがっていた時期もあったが、デビュー5年目を迎え、先輩騎手にアドバイスを請う機会も増えた。

 5月24日現在、JRA通算97勝。100勝が直近の目標になるはずだが、「意識してません。自分の記録以上に、周りのサポートのありがたさを感じています」と、どこまでも謙虚だ。「もちろん夢は大きいものを持っています。諦めるつもりもありません」。今週末もハヤブサナンデクン(香嵐渓特別=30日、中京)など、有力馬も依頼されている。まずは目の前のチャンスをモノにする。(玉木 宏征)

 ◆川又 賢治(かわまた・けんじ)1997年11月19日、東京都大田区出身。23歳。栗東・フリー。2017年3月にデビューし、JRA通算97勝。158・3センチ、44・9キロ。血液型A。趣味はゴルフ。「ベストスコアは97ですが、好きですね。コロナが落ち着いたら、また行きたいです」。

最新記事

さらに表示
ニュース検索
馬トク SNSアカウント
  • X (旧Twitter)
  • facebookページ
  • Instagram
  • LINE公式アカウント
  • Youtubeチャンネル