【日本ダービー 武史の挑戦4】鈴木伸尋調教師、負担かけない技術は「天性のもの」

エフフォーリアと横山武史騎手
エフフォーリアと横山武史騎手

◆第88回日本ダービー・G1(5月30日・芝2400メートル、東京競馬場)

 騎手2年目の18年、横山武史は鈴木伸尋調教師(61)=美浦=からどなり声を浴びせられた。「2年目のお前の目標はスマホを見ながら自転車に乗らないことだ!」。武史は調教騎乗中、自転車でスマホを操作しながら美浦トレセン内を移動。熱中しすぎてバックで出てきた乗用車に気付かず接触した。幸い軽傷だったが、師匠から雷が落ちたのだ。

 鈴木伸師はかつて沢峰次厩舎で勤務。同じ助手として武史の祖父、横山富雄元騎手もいた。そうした縁もあり、武史を弟子として受け入れた。04~07年には津村明秀騎手(35)=美浦・フリー=も指導。「津村は坂路を55秒0で上がってこいと言うと、54秒9か55秒1で上がってくるくらいうまい。武史は最初が引っかかるように見えるけど、しまいは12秒で来る。かかっているように見えてもかかってない。道中に負担をかけずに乗れている。天性のもの」と証言する。

 武史は皐月賞のレース後、自宅でテレビ観戦していた師匠に電話で優勝を報告した。鈴木伸師は「相当プレッシャーはあったと思う。全勝での制覇だし、ジョッキーとしてまだ5年目。それに打ち勝ってよく頑張った」と褒めた。

 いつもはふざけたり、馬と一緒に厩舎で遊ぶ22歳だが、皐月賞前は調教終了後すぐに帰宅していたという。「緊張しているんだなと思った。これからいい馬に乗るならそれに打ち勝っていかなきゃいけない。それは宿命」と鈴木伸師。一見プレッシャーとは無縁に見えるが、ダービーでも目に見えない重圧は襲ってくる。(特別取材班)=つづく=

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