北米競馬で前年に活躍した人馬を表彰するエクリプス賞の授賞式が10日(日本時間11日)、米カリフォルニア州のサンタアニタ競馬場で行われ、ラヴズオンリーユー(牝6歳)が最優秀芝牝馬に選出された。日本調教馬のエクリプス賞受賞は史上初。同じ矢作厩舎所属で最優秀ダート古馬牝馬の最終候補にノミネートされていたマルシュロレーヌは受賞を逃した。
誰よりも重みを強く感じていた。日本競馬史上初のエクリプス賞受賞。矢作調教師はラヴズオンリーユーの名前が呼ばれ、すべて英語によるスピーチを終えるまで、表情を崩すことはほとんどなかった。「こんなにうれしいことはない。今日は日本競馬にとって、歴史的な一日です」と壇上で満足そうに口にした。
最終候補へのノミネートですら、過去に05年のシーザリオだけという高い壁だったエクリプス賞。出発前に「自分個人より、日本競馬の歴史にとって、非常に大きな一ページ」と矢作師は話していた。今回は8日に北海道でコントレイルの種牡馬展示会に出席し、授賞式前日の現地に到着するという強行軍。しかし、日本競馬を代表するホースマンとして駆けつけた。
ラヴズオンリーユーは昨年、JRA史上初の海外G1年間3勝を挙げたが、なかでも日本調教馬で初の勝利となった11月のブリーダーズC制覇のフィリー&メアターフが放つ輝きは格別。「馬はもちろん、自分のプランを実行させてくれたオーナー、そのプランを忠実に実行してくれた厩舎のスタッフに感謝したい」
今後はもう一頭のBCウィナー、マルシュロレーヌのラストランとなるサウジC(26日)が行われるサウジアラビアへ、アメリカから移動する。世界のYAHAGIに休息の時はない。
〈マルシュロレーヌ、選出ならずも「2頭のチームだったからこそ、両レースとも勝てた」〉
○…BCディスタフを制し最優秀ダート古馬牝馬部門の最終候補に残っていたマルシュロレーヌは選出されなかったが、一般投票による最も印象的な出来事に送られる「NTRAモーメントオブザイヤー」を「#JapaneseDuo」として、ラヴズと2頭で受賞した。「2頭のチームだったからこそ、両レースとも勝てたと思っています。このチームを誇りに思います」と矢作調教師は感謝した。
◆ラヴズオンリーユー 父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー(父ストームキャット)。生産は北海道安平町のノーザンファーム。通算成績は16戦8勝(うち海外4戦3勝)。G1勝利はオークス、BCフィリー&メアターフ(米国)、クイーンエリザベス2世C、香港C(ともに香港)。馬主はDMMドリームクラブ(株)。