◆第54回マイラーズC・G2(4月23日、京都競馬場・芝1600メートル)
「新・京都競馬場」の最初の重賞、読売マイラーズC(23日)で、初めて1600メートル戦に挑むガイアフォースはキタサンブラック産駒。皐月賞を制したソールオリエンスと同じ父を持つ。昨年のセントライト記念勝ち馬の新たな可能性を戸田和彦記者が占った。
昨年の菊花賞で1番人気に支持されたガイアフォースのマイル戦投入。当初は適性に疑問を感じたが、杉山晴調教師が矛先を向けた理由は明確だった。ポイントに挙げたのは、〈1〉直線が平坦、〈2〉高速決着が予想される新・京都競馬場での開幕週の2点だった。
直線に急坂の待つ中山のセントライト記念で重賞制覇を飾っているが、その能力をフルに発揮したのは、昨年7月の国東特別(1勝クラス)。京都と同じ直線に坂のない小倉でのレースだ。前半1000メートルが58秒0のミドルペースを悠々と2番手追走。持ったままの抜群の手応えで4角先頭に立ち、7馬身差をつける“一人旅”。1分56秒8のコースレコードで制した。「阪神や中山でも勝っていますが、直線が平坦な方がより良さが生きると思います」とトレーナーも期待を込める。
次位に0秒9差をつけるラスト3ハロン35秒5の豪脚を繰り出し、先週の皐月賞を制したソールオリエンスと同じキタサンブラック産駒。「究極に速い脚を使うというより、いい脚を長く使える」とトレーナーが特長を説明するようにタイプは違うが、スピード値の高さは共通する。「距離はやってみないと分かりませんが、開幕週の馬場は合うと思います」。4角手前の下り坂でスピードに乗れる京都のコース形態。早めスパートから押し切りを狙うレーススタイルにフィットする印象だ。
父キタサンブラックが母の父に名スプリンターのサクラバクシンオーを持つ影響か、産駒のマイル以下での成績は安定。様々な要素からデビュー後初のマイル戦、前走から3ハロンの距離短縮にも対応可能とみる。「ここでいい走りができるようなら、秋には同じ舞台のマイルCSもありますからね」と先も見据えたトレーナー。父が天皇賞・春を連覇した淀で、ガイアフォースが輝きを取り戻す。(戸田 和彦)
〇…もう一頭のキタサンブラック産駒、ジャスティンスカイは4連勝での重賞制覇に挑む。
新馬から2000メートル戦を使い、その後も2勝を挙げて青葉賞(11着)に駒を進めたが、調教で手綱を執った福永(当時騎手、現調教師)の進言もあり、昨年10月にマイル戦へ。その後は2勝クラスから3連勝。前走の洛陽Sでは、福永を背に好位から抜け出し初のオープン勝ちを飾った。「いい成長曲線を描いています。筋肉が増えるに従って、短距離馬っぽくなってきました」と安田助手も手応えをにじませた。
久々の重賞挑戦へ向けて、ここまで4週続けて7ハロンの長めから追われ12日の1週前追い切りは99秒3―11秒2と鋭く伸びた。マイルでの3戦は全てラスト3ハロン33秒台。新たになった京都競馬場の最初の重賞で、その切れを爆発させる。