◆第73回安田記念・G1(6月4日、東京競馬場・芝1600メートル)
人が気負わずに馬を手助けするのがモットーだ。完全復活を目指すシュネルマイスターの名畑俊助手(36)は「いかにレースへリラックスして臨めるか、という点のウェートが大きいと思います」と意識して日々向き合う。前走の読売マイラーズCでは21年の毎日王冠以来となる久々の白星をつかみ取り、2年ぶりのG1制覇も現実味を帯びてきた。
昨秋の始動戦だったスプリンターズSで初めての6ハロン戦を経験して、速いペースに戸惑いながら9着と結果が出なかった。その後もかみ合わない競馬が続いて、名畑助手は「スプリンターズSを使って前進気勢が強くなり過ぎたりして、マイルCS、香港マイルは馬場入りからガーッといってしまった。それで今年から厩舎装鞍だったり、なるべく馬のテンションが上がり過ぎないように調整してきた」と振り返る。今年の始動戦の中山記念は4着と復活の兆しを見せ、栗東滞在で挑んだ前走の復活Vは陣営の努力が報われたものだった。
新潟県佐渡市出身で、中学時代に当時ブームだった「優駿の門」などの競馬漫画や友人の影響で競馬の世界を志した。G1・3勝馬のフィエールマンや今年の皐月賞馬ソールオリエンスも担当しており、今回も「返し馬までテンションを抑え込めれば、いい結果が出るかな」と冷静にチャンスを感じている。先週のダービーの悔しさは胸にしまい込み、黙々とベストを尽くす。(坂本 達洋)
◆名畑 俊(なばた・しゅん)1986年6月19日、新潟県佐渡市生まれ。36歳。高校卒業後、複数の牧場勤務からJRA競馬学校厩務員課程を経て、2014年11月に補充員として手塚貴久厩舎でトレセン生活をスタート。その後、大竹正博厩舎を経て、16年3月から調教助手として手塚厩舎に入る。