【京都2歳S】凱旋門賞馬ソットサスの全弟・シンエンペラーが初タイトル 矢作芳人調教師の夢は「英仏ダービー」

馬群の真ん中を鮮やかに伸びたシンエンペラー(左)
馬群の真ん中を鮮やかに伸びたシンエンペラー(左)

◆第10回京都2歳S・G3(11月25日、京都競馬場・芝2000メートル、良)

 現2歳世代最初の2000メートル重賞となる第10回京都2歳Sは25日、京都競馬場で行われ、単勝1番人気のシンエンペラー(モレイラ)が無傷の2連勝で初タイトルを獲得した。20年凱旋門賞馬ソットサスの全弟にあたる大物候補。矢作調教師は年末のホープフルS(12月28日、中山)への参戦を明言する一方、早くも「英仏ダービー」と壮大な夢を掲げた。

 秘める素質の片りんを、ここぞとばかりに見せつけた。勝負どころで包まれていたシンエンペラーは残り1ハロン手前でもまだ、馬群の中ほどにいた。しかしエンジンがかかると一気に加速。スルスルと伸び、ゴール前で半馬身だけ前に出た。表彰式を終えた矢作調教師は思わず「負けたと思った。強いな」と感嘆の第一声。東京11Rのドーブネに続く、藤田晋オーナーの東西メインジャックでもあった。

 栗東の調教では集中力を欠き、この日の返し馬でも一頭だけ頭を上げて走っていた。矢作師は「まだホントに子供で勝ち切るんだから。勝負根性と言うより、能力自体が高い。伸びしろはまだまだある」と大きな可能性を感じさせる勝利に武者震い。この日も4勝の量産で、今秋のJRA重賞も5勝目となったモレイラも「ポジションが後ろになり前半は心配しました。直線もスペースができるまで時間がかかりましたが、素晴らしい反応。能力が高い馬しかできない勝ち方で、将来楽しみです」と、賛辞のオンパレードだ。

 20年凱旋門賞とガネー賞、19年仏ダービーの仏G1・3勝を挙げたソットサスの全弟で、父シユーニもフランスG1馬。母スターレッツシスターが14歳で早世した直後の弔い星にもなった。「まだ線が細いので状態を見ながらだけど、まずはホープフルS。イギリスダービーには登録していないけど、何か方法はないのか…。英仏ダービーの夢を探りたい」。意外にも厩舎の23年JRA重賞初制覇だったが、「世界のYAHAGI」の視線は早くも本場の大舞台に向けられた。(玉木 宏征)

 ◆シンエンペラー 父シユーニ、母スターレッツシスター(父ガリレオ)。栗東・矢作芳人厩舎所属の牡2歳。フランス・モンソー厩舎の生産。通算2戦2勝。総獲得賞金は4069万7000円。重賞初勝利。馬主は藤田晋氏。

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