◆香港国際競走・G1(12月10日、香港・シャティン競馬場)
【香港10日=ペン・角田晨、カメラ・高橋由二】JRA海外馬券発売対象の香港国際競走がシャティン競馬場で行われた。日本馬計13頭が参戦したが、18年以来の勝利なしで終わった。香港ヴァーズ(芝2400メートル)のゼッフィーロ(レーン)が、最高着順の2着。その要因を、現地取材した角田記者がコラム「見た」で分析した。
18年以来、日本馬が勝てずに終わった今回の香港国際競走。大挙13頭で臨んだだけに悔しい結果だが、レース前から厳しい戦いになることはある程度予測できていた。
なんといっても地元香港のメンバーが強すぎた。香港マイルを制したゴールデンシックスティは香港史上最強馬と言われており、今回を含み4年で3度の制覇。唯一の敗戦だった昨年も2着で、そもそも日本馬は先着したことがない。香港C連覇のロマンチックウォリアーは現地で“パーフェクトホース”と呼ばれるほど。昨年は5頭の日本馬を圧倒し、むしろ今回のヒシイグアスはよく微差の3着まで追い詰めたと言える。スプリントのラッキースワイネスも“スプリント王国”香港でG1・4勝目。実績が足りない日本馬2頭ではかなわないのも仕方がない。
香港ヴァーズは確かにチャンスがあった。現地でも1番人気に支持されたレーベンスティールだが、今回が初の海外遠征。田中博調教師が「コンディションが整っていなかった」と話すように、やはり初めての環境での調整は難しい。勝ったファーブル厩舎がフランスからの遠征ながらヴァーズ3勝目と思うと、経験値の差が出た形だろう。
今回の香港遠征で、ヴァーズに2着最先着のゼッフィーロを送り込んだ池江調教師は「海外に日本競馬の血を広めるためにも、こういう注目度の高いレースに参戦する意義はある」と熱く語っていた。その通りだと思う。挑戦を続け、来年は日本馬が一頭でも多く勝ってほしい。